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2010年11月26日

アルバーノ、ナポリターナ

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ナポリ仕立て、サルトリアナポレターナ。いい響きだ。半世紀生きてきて、僕もそろそろ愛用の一着をナポリで仕立てたいものだ。
アルバーノで今扱っているスーツ、ジャケット、実用的なイタリアンスーツ。僕のお気に入りでもあり、世界中でも注目のブランド。満足はしている。
でも、ちょっと背のびしたクロージングも興味はある。イタリアの高級なファクトリー、キートン、サルトリア、イザイア…。でも、小さな工房で作られるナポリのサルト。当然オーダーのみ。英国、サヴィルロウの「威厳と格式」と対をなす。
「軽くしなやかなリゾート、ナポリのリラックス」憧れるなぁ。威厳に溢れた厳格なオヤジにはなりたくない。粋で味わい深い丸いオヤジになりたい。そんなリゾートナポリの洒脱な洋服に袖を通し、心穏やかに楽しみながら齢をとりたい。
「やっぱりナポリ服だよ。」そう思わせてくれたのは、東京青山の名店「スティーヴ」。実は今大きい方の為に、サイズ50のスーツを数点貸してもらった。
「サルトリアサビーノ」アメリカ人エリートにも人気ナポリのマエストロ。
ハンガーに掛かった服を見ても普通にしか見えない。肩のいせ込みと柔らかそうな雰囲気は解る。小柄な僕が羽織ってみても笑うしかない。丁度良いサイズのお客様がいらっしゃった。羽織ってもらう。「素晴らしいっ!」サイズの合う方が着ると、服全体にドレープが生まれ全く別物に変身。日本のオーダーだと体が等身大に主張する。イタリアのジャケットは形が主張する。
ナポリのスーツは、体のクセを出さず巧みに補正し、メリハリあるシルエットを出す。
それが、ナポリサルトの手仕事だ。人間の手で甘く加減して縫われているので、着る者の動きに合わせて、天然のストレッチ機能になる。5,6年着続ける事でスーツと着る者が馴染み、自分の体の一部になる。一張羅なんてありえない。ナポリ仕立て恐るべし。
その恰幅のいいお客様には失礼だが、全く別人に美しく映った。当店の売れ筋ブランドより、価格が高いのもうなづける。でも、10万近い靴が売れる時代。この服に袖を通してみれば、靴の美しさ同様の感動は得られると思う。
ナポリに行こう、ナポリに。ユーロも安い。オーダーだよ。僕の人生後半はナポリにかけようか?僕の体の中にナポリの血がブレンドされるかも。

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