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2011年04月12日

店長の愛聴盤シリーズ 25

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「Canto subterraneo」Ariel Asselborn
日々何事もなく平凡な日常生活を送る。それがどんなに幸せな事か身に沁みて感じます。もし、その日常が一瞬にして消えてしまったら、生きるエネルギーを失ってしまうだろう。震災後しばらく被災者の方々の心中を思うと言葉にならなかった。言葉をなくしてしまった。「お見舞い申し上げます。」としか言えない。そして、ゆっくりと自分らしさを取り戻して欲しい、と願う。
震災から1ヶ月がたちます。復興に向かっても今までよく知っていた故郷の情景は戻ってはこない。長年その土地に住んできた人達にはツライことだろう。これから新しく生まれ変わる事になるだろう。でも美しい風景、情景を心の中のキャンバスに焼付け、いつでも郷愁を思い出せればいいな、と願います。
被災された方々が今音楽を聴ける状況ではないでしょう。
今僕はよくこのアルバムを聴いています。アリエル・アッセルボーンの「大地に眠る歌」アルゼンチンのシンガーソングライター。フォルクローレをルーツに歌とギターで優しく語りかける。大地の詩的で美しいストーリーの数々。押しつけがましくなく、慎みの感じられる歌声。静かだが暗くうつむくことはない。まっすぐに聴き手の胸に届く強さを備えている。傷ついた人の心の中に自然と染み渡ると思う。広がる草原、流れる川、人々の記憶。これを聴いて故郷の情景、素晴らしい風景をぼんやりと想像して欲しい。
今僕達に出来る事は自分に与えられた日常を精一杯生きる事と同時に苦しみと戦って生きている人達を目を閉じて想うことである。

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