昨日NHKで気仙沼のとある商店街の復興に向けての取り組みについての番組を放送していた。同じように商店街で店を構える者として、非常に考えさせられました。生活と仕事を一瞬にして失うという現実に立たされた辛さ、絶望感と喪失感そして待っているのは、人生の選択…。
瓦礫に埋まった商店街跡地に仮設の雑居ビルを国に建ててもらい、そこに再建を望む店舗が入り、街が整備されるまで共同営業し準備資金を貯める。ということだ。まさにゼロからのスタートだ。
ジャズ喫茶を経営していた店主は、店を再開するならば今の場所しか考えられない。と言い、壊れたスピーカーを磨く。地域に対する想い、人と人との触れ合い。ショッピングセンターやファッションビルのように人工的に作られたものではない、生活の中で自然に発生し、長い年月をかけて作られてきた独自の世界。街を商店街を愛する想い。僕達も失いかけている気持ち。羨ましく思った。
もしも、自分がそういう立場に立たされたのならば…??どの道を選択する?
四代続いてきた店。その事が頭をよぎるがそれよりも僕自身だ。長年続けてきた今の場所を離れるのか?仮設ビル等に入り同じ場所で再出発するのか?勿論商売を辞めるという選択肢もある。今の時代商売はインターネット全盛だ。だったら場所に拘る必要はないんじゃないか?しかし、商売以前にここは僕が生まれ育った場所だ。愛着はすごくある。何代商売を続けてきたかではない。これから僕がどう生きていくかなのだ。僕自身のアイデンティティと洋服屋の自分との距離感。そして忘れてならないのは資金。多少苦しくても生活していけるのなら、自分の店を必要としている人がいるならば、続けていくだろう。応援してくれる人がいるということは、大きな後ろ盾になる。
土地への愛着とは別だが、番組の最後にプロジェクトのリーダーが涙ながらに話した言葉が僕の心に響いた。
寝る暇も惜しんでボランティア支援の書類を書く日々。「全然つらくないんですよ。当たり前のことをやっているだけですから。僕のように時間に追われる程仕事があると言う事がどんなに幸せな事か。仕事がなく何もしない事がどんなに辛い事か。そんな人が沢山いると思うと僕はすっごく幸せですよ。」
一生懸命自分をかける事がある事が、人間生きていく大きな支えになるんだと思う。
全国の少数派レディスフィナモレファンの皆様、お待たせいたしました。
ついについに…フィナモレからレディスのウォッシュドシャツが登場します。メンズシャツの世界では、ダントツで人気驀進中のフィナモレスポーツラインのレディス版です。
それはそれは長い道のりでした。アルバーノでフィナモレのレディスを扱い始めてかなりたちます。一時日本ではレディスの取り扱いは当店だけという時期もありました。
フィナモレの人気モデルSERGIOのスポーツシャツが売り場を占領し5年程たちますが、女性の方々から「フィナモレのシャツは格好いいんだけど、なんでメンズのようなウォッシュドタイプがないの?」というご意見を度々いただきました。
僕達も代理店のアマンさんへ行くたびに「レディスの洗いのタイプを作ってよ。」と伝えるも、いつも返ってくる答えは「レディスは作れないそうです。」なので、もうあきらめていました。
今回アマンさんの展示会に行くなり目に入ったのは、レディスのフィナモレ。レディスのフィナモレのサンプルがハンガリングされていて、しかもクタっと洗われているではないですか!「やった~!」思わず相棒と手を取り合い喜びました。
早速サンプルと生地が送られてきました。襟型はメンズと同じSERGIOではありませんが、EDUARDO(SERGIOに近い)とLUIGIです。「こんな柄なら洗うといい感じになりそうだね。」と膨大な数の生地から、貴重な少数派ファンの方々をイメージしながらチョイスしました。
今の時代こういうメンズライクな辛口シャツがヒットすることはないでしょう。でも、どんなに時代が流れてもクラシックなシャツがなくなることはありません。体を美しく見せてくれるシャツの存在は、決して男だけの世界ではないことだと思います。このフィナモレのシャツに魅せられた女性の方は必ず又来店されます。メンズライクなシャツが苦手だった方でも、洗ってあれば着られるコーディネートも広がるはずです。
来春はアルバーノに洗いがかかった美しいシャツの花々が、沢山咲き誇っている事でしょう。