来秋冬のプレコレクションが始まっています。横浜のブログの時に少し書きましたが、ボリオリのプレコレです。会場にはジャケット・スーツがメインではありますが、シャツ・パンツ・ニット等トータルなアイテムで「ボリオリ」の世界観が広がります。10年前からは想像もできない光景です。「DOVER」、「COAT」の新しいカラー、柄物、定番物を順番に見ていきます。僕の足が止まったのは「COAT」のコーナーでした。日本に入ってきた時に一目惚れし、売り続けてきました「COAT」。今までいろんな色・柄をチョイスしてきましたが、全てコットン素材でした。しかし、なんと目の前にウールの「COAT」があるではありませんか!数か月前ボリオリの担当者の方が来店された時に、「ウール素材のCOATもそろそろ作って欲しいなぁ」と強く要望したのが届いたのでしょうか?
ガーメントダイの先駆者ボリオリは「COAT」については、ずっとコットン素材にこだわってきました。が、ついにウール素材も洗ってくれました。プライスもいい感じ。う高級素材(カシミア等)を洗ったKジャケットにウールは限定していました。「COAT」のスーツも来春の目玉ですし、ウール素材の「COAT」の登場は「COAT」の世界をさらに広げてくれそうです。
一つ残念な報告もあります。ボリオリクラシックスーツの最高峰である「Hモデル」がなくなります。ファクトリーブランドとして、上質なクラシコサルトリアを作る事はステイタスであったはずです。そのモデルを切り捨てる事は歴史あるファクトリーからの脱却であり、ブランドとして生きていくという宣言でもあります。少し淋しい気持ちです。確かにボリオリはジャケットで大成功をおさめました。世界的に認められました。偉業ではありますが、ボリオリの長いファクトリーの歴史を考えると現会長(4代目)はどう思っているのでしょう。僕達もスーツのボリオリとして、SやHモデルをドロップは7か8、パンツはワンタックかノータック等細かく選んでオーダーしていたことが懐かしいです。その頃とは違い今は高級スーツも厳しい時代です。メンズクロージングの世界も変わってきています。古いクロージングの体質に革新を取り入れ、リードしてきたのがボリオリなのです。だからこそその古い体質とお別れする事は必然なのでしょう。何度も書いていますが、モードとクラシックの間の微妙なスタンスに生きるボリオリ。そのワンアンドオンリーのボリオリのポジション(スーツ、ジャケット中心)の中で、メンズファッションのサプライズに挑戦していって欲しいと僕は強く願っています。
ちなみにスタンダードなクラシックFモデルは、「D」と名を変え、スタイリッシュにマイナーチェンジします。最高級はなくなっても、アルバーノが僕がこよなく愛すこのモデルは健在です。庶民的であれどもスタイリッシュなこのモデルは、当店の定番として来秋も店頭に並ぶし、作り続けて欲しいボリオリの最後のクラシックスーツです。