いつからか「コラボレーション」という言葉がよく聞かれるようになりました。交わるという事でしょうか。昔だと合作・共演・ジョイントということですよね。個と個が交わって新しいものを生み出す。いろんな分野でコラボされてます。音楽の世界にも。相性の良さそうなもの同士のコラボもあれば、全くタイプの異なるコラボもあります。
1+1が何になるかがコラボの醍醐味です。必ずしも答えが2や2以上になる訳ではありません。先週7日、8日と東京へ仕入れに行った時に久しぶりにLIVEを観ました。なかなか観たいLIVEと出張がピタっと合う事はありません。今回は珍しい事です。(東京出張前は毎回必ずLIVEスケジュールをチェックします。)
今回は、ブラジルのシンガー、ヴィンシウス・カントゥリアとジャズギターのビル・フリーゼルのコラボです。畑違いの2人ではありますが、僕の大好きなミュージシャンが同時に見られるのです。こんな幸せありましょうか。2人が別々に演奏するのではなく、まさに掛け合いコラボです。例えればボリオリとインコテックスが共演?コーディネート?するようなもんですよ。悪くなる訳がない。渋谷の道玄坂にあるマルチホール。座席は前から4列目のド真ん中。なんと隣りには僕の音楽の師、ピーターバラカン氏が!
ステージにはアコースティックギターとエレクトリックギターのみ。そこに2人が登場し、静かにパフォーマンスが始まった。美しいギターの掛け合いに息をのむ。そこにヴィニシウスの囁く様なヴォーカル。その様子を嬉しそうに伺いながら(手元はあまり見ず)、ビル・フリーゼルは高度なテクニックを駆使する。彼にしか出せない浮遊感のある個性的なギターの音色をからませてくる。まさに「あ、うん」の呼吸。
2人のコラボは、幻想的な音空間を作り出し会場を包み込む。熟練の大人2人による大人の為の大人の音楽。90分がアッという間に過ぎた。レコード、CDもいいけれど、やはり生で聴く音に優るものなし。
いい音楽、アート、映画に生で触れる事は、感性を研ぎ澄ませてくれます。1+1が何になったかはわかりませんが、コラボレーションの素晴らしさを実感した夜でした。