2月は、短い。
まるで、リニアモーターカー。あっという間だ。毎週ごとに加速している。
1月は緊張感があった。長い1月が終わり、気が抜いた訳じゃない。
他の月より2、3日短いだけなのに。2月は早い。いや、一年が早いという事だ。
2月は、複雑。
服屋もそろそろ衣替え。SALEはお祭り。祭りの後の寂しさ。
一足先に春が来る。春物入荷。まだ売れるからしまっちゃイヤとフランネルジャケット。
もう俺の出番かい。とリネンのカプリシャツ。
まぁ仲良くしようじゃないか。所詮同じイタリアもん同士じゃないか。
仲裁に入る店主。冬物に気を配り、春夏物に気を使う。
というわけで、店内はシーズンレス。一体何を売ったらいいんだい。
そんなの決まってるだろ。答えはお客様だけが知っている。
2月は、異次元。
2月も終盤。どんどん春物が入荷する。もうさすがに衣替えしようか。フランネルジャケットごめんよ。
明日から東京だ。2月は富山と東京を行ったり来たり。ちょっと都会っ子。田舎モンには刺激的。
出張に行くのか?遊びに行くのか?勿論仕事。でも、お楽しみも少々。
問題は次の秋冬のMD(商品構成)だ。どうしよう。
半年に一度の大きな宿題。僕達の生活がかかっている。
頭の中はフルスロットル。体はリラックス。
「2月くらいゆっくり休ませてくれよ。」とボヤく。そうは問屋がおろさない。
入荷してきた春物に袖を通しながら、秋冬のフランネルジャケットを引っ張り出してきては、悩むMD。
2月。まだ僕達の秋冬は終わってなかったのか!
大きな心とリーダーシップを持ち合わせ、チームを統制するのがトップの役目であります。
当店には長年信頼している絶対的№1が存在します。そうです、BOGLIOLIです。圧倒的存在感でアルバーノのクロージングをひっぱってきました。
そこへ数年前より、リーダーを陰で支える名参謀、チームの新しい頭脳が現れました。三国志で言えば、諸葛亮孔明。僕の好きな新撰組で言えば、土方歳三に相当します。アルバーノ・クロージングコーナー陰の実力者、№2は、GAIOLAです。BOGLIOLIがアルバーノの血や肉ならば、GAIOLAは骨か内臓か。アルバーノ組に加入して3年。もう風格すら漂います。ナポリサルトで培われた経験、ノウハウが新しいプレタに乗り移ってます。
今春も万全の調整で仕上げてきました。揃い出しております。
昨年12月社長さんにお会いして話したことをブログに書きました。自信に満ち溢れた方でした。これから大きく羽ばたいていく勢いを感じました。GAIOLAが身近に大きな存在になったと同時に新しい風が吹き始め、クロージングコーナーが華やかに厚みを増してきました。ワクワクしますよ。この空気感。僕達、服屋にとってすごく大切な感覚です。
僕達、物売りです。それがビジネスなんですが、自分が心底楽しめないモノは売りたくないんです。どんなに売れるものであっても。五感・ハートが揺さぶられる様な高揚感がないと。次から次へとイマジネーションが、湧水のごとく湧き出ると言いましょうかね。服を仕入れる事。オーダーする事。モデル(型)を選ぶ事。生地を選ぶ事。店内に陳列する事。皆様がそれを身にまとう姿をイメージする事。身にまとった皆様が周りから魅力的に映る光景。楽しくてなりません。服屋をやっていてよかったと思いますよ。
そこまでイメージングできれば、モノは売れていきますよ。きっと。ただ、そんな服との出会いは滅多にあるものではありません。
GAIOLA。まさに当店が追い求めていた、僕が探し続けていた南イタリアの空気を詰め込んだ洋服です。僕にとって、美しいスーツ・ジャケットはどれだけ眺めていても飽きないものです。(勿論着用しての話です。)人によっては、その対象が靴かもしれません。車かもしれません。インテリアかもしれません。自分が愛する宝物、沢山持ちたいものですね。
そうそう昨年末、GAIOLAの社長ペトリロ氏から沢山のナポリパスタが届きました。ファミリーを大切にする南イタリアからのあたたかいプレゼント。
アルバーノも、GAIOLAファミリーの一員として認めてもらえたのかな。
勝手に恒例にして一人喜んでおりますが、シーズンの始まりを告げる時、僕の相棒ボリオリにキャッチフレーズをつけて熱い想いを語らせてもらっています。
運命の出会いからもう10年ぐらいたちますかね。10年もつきあっているといろいろありますよ。
男と女もそうでしょう。本質的には変わらないんでしょうが、変わっていくところもありますよね。いいところ悪いところ、全て受け入れていくしかないでしょう。生理的に合わないところは目をつむり、いいところだけ見ていきましょう。それが仲良くやっていく秘訣です。(何の話や?)
まぁボリオリは、僕の血であり肉であります。「長い友とのこれからに…」と昨年ブログに書いたように、走り続ける友を見守る決意をしました。
僕が義理固いって?最近の人気ブランドには目もくれず、長い付き合いのボリオリにこだわり続けるのは義理人情だけじゃございません。プライドでもございません。
やはり、このブランドが持つアイデンティティ、可能性に心底惚れ込んでいるんです。
ボリオリがチヤホヤされたのは、もう過去の話。気がつけば周りにはライバルだらけ。弱肉強食の時代です。でも、もしそれが本物だとすれば維持、定着できると信じています。
ボリオリは100年の歴史やクラシックなスタイルに別れを告げました。サルトリアモデル、スタンダードモデルは姿を消し、COAT・Kジャケットモデルだけが残りました。本当にボリオリはにどこに向かっているのでしょうか?そんないちブランドの行く末を真面目に考えているのは僕ぐらいじゃないか?オメデタイ男です。
今回のキャッチフレーズ「研ぎ澄まされた艶服」としました。艶やかな服=色気服。
ここからは、僕の想像であり理想であります。ボリオリが目指すのはモードではありません。クラシックでもありません。ボリオリにしか表現できない立ち位置、世界観、流派がどこかに存在するはずなんです。それは、まだ何者も知らない世界であります。その部分をちゃんとした形として見せて欲しいのです。
僕がイタリア服に魅了されるのは、なんと言っても「色気」です。それは皆さんも同じだと思います。僕が初めてボリオリを着た時に、それを感じました。そして、DOVERを着た時今まで感じた事のない「艶やかさ」「色っぽさ」を、その軽く丸みのあるジャケットに感じたのです。軽く丸みのある美しいジャケット?もしかして…。
「艶」「色気」と言えば、古くは80年代日本にイタリアンブームを巻き起こした帝王ジョルジオ・アルマーニが思い浮かびます。僕個人の勝手の解釈ですが、どうもボリオリDOVERのスタイルに、あの帝王アルマーニのアンコンジャケットの陰がちらつくんですよ。もしかしたら、DOVERのデザインにアルマーニをイメージしていたのではないか?と勝手に妄想しているんです。
アルマーニのアンコンジャケット。そして、20年後のボリオリDOVER楽ジャケット。どちらもブームの火付け役です。
今あらためてボリオリの服。特にDOVERに他のブランドには作りえないであろう独特の「艶」「色気」を強力に感じるのであります。
着るだけで見えるボリオリのオーラ、その曲線美。それは捨てたはずの100年の歴史の亡霊がしっかり宿っているのです。そりゃそうです。ボリオリというブランドを作っているのは、100年の歴史を
持つ老舗ファクトリーのボリオリであるからです。
ボリオリは間違いなく本物です、ボリオリが作る限り。
今回のボリオリDOVER、COAT、一段とシャープに感じます。研ぎ澄まされてますよ。ボリオリの未だ見ぬ世界に「艶」「色気」「華」「エレガンス」…というワードが重なります。強く期待します。静かに少しずつボリオリはジャケット戦国時代から抜け出し、新しいボリオリワールドを築こうと考えているのではないでしょうか。