街が眠りについた深夜。人けのない商店街の洋服屋の2Fでは、好きなものに囲まれ何かをたくらんでいる男がいる。
コルビュジェのソファ、カスティリオーリのライト、マッキントッシュのアンプ、JBLのスピーカー…。そして、今日はスペシャルなゲストがやってきた。イタリアのヴィンテージファブリック。
元々ファブリックを扱うアルヴェスティさん。ショールームの片隅にあるヴィンテージファブリックが、かねてから気になっていた。念願叶って、今回全て送ってもらった。パッキンにぎっちり詰まった大量のファブリック。血が騒ぎます。一枚一枚取り出し、愛おしく手にとっては、かざして見たり近づけて見たり。
さぁここから、僕のイマジネーションの世界が幕を開けます。
どんなジャケットを作ろうか?どんなデザインのスーツにしようか?
ところが、今日は違うんですよ。洋服が目的じゃないんです。今日は僕の趣味と言ってもいい、インテリアモードなんです。ウインドーと店内のプチリニューアルの為です。インテリアとファブリック?ファブリックは空間作りのいいソースになります。
例えば、カーテンや壁紙、古いソファやスタンドライトのシェードを張り替え。パネルにしてアートにしてもいいし、シンプルにクッションやテーブルクロス。雰囲気作りには欠かせません。
何か面白いことに使えないかな。
イマジネーションを膨らませるには、ジャズです。レコードです。ヴィンテージファブリックには、古いレコードの温かい音がよく合うんです。ブルーノート、ジョニー・グリフィンの刺激的なピンクレッドのジャケットが目に留まりました。ファンキー、ムーディーなサックスの音が五感を始め、体中の器官を刺激します。
なんか脳が躍動してきたぞ。
生地を見ていると、見慣れている生地がでてきました。隠れ家の僕の横にいつも寄りそう観賞用のGi・カプリのジャケットと同じ生地。いや、よく見るとブロックチェックの大きさは、ちょっと違うか。
とにかく今日は洋服モードではないので、洋服では使わないようなインパクトのあるものや変わった柄を探します。こうしている時が僕には至福なんです。
イタリアのウインドーディスプレイ、凝ってますよね。街角にあるショップのウインドーは、競うように自己主張します。街や商店街に伝統と華やかさを醸し出しながら、映画のワンシーンのように人々を魅了します。
今の日本には失われつつある、ウインドーショッピングを楽しむ文化。寂しいなぁ。
アルバーノのショーウインドー、どうしましょうか。洋服屋っぽくない斬新なショーウインドーにしたいなぁ。小さな空間の中にアッという仕掛け、まさにショーを演出したい。
春までにと言いつつ、かなり遅れております。秋には実現させたい。
今日出した写真の中から、いくつかファブリックを選ぶつもりです。どう使われるかはお楽しみに!
道行く人々が、必ず足を止めて釘づけになるような魅力的なショーウインドーにしますよ。そこに僕はこだわりますよ。