もう2014年秋冬の仕入れが始まっている。早すぎる。今オーダーすると入荷が早くなるよ。代理店からの誘惑。うちはネットショップで競争している訳じゃないし、年明けの本コレクションでこの冬の結果を見ながら、ゆっくりオーダーしようかなと考えていた。
そこへ代理店アルヴェスティから、「ガイオラの社長ペトリロが11月末に来日します。是非アルバーノに会いたいと言っています。」という知らせが。血が騒いだ。丁度1年前の12月、初めてペトリロ氏と会った。僕洋服に対する情熱と夢を与えてくれたベニー(ペトリロ氏の愛称)。
アルバーノにとって、僕にとっても一番大切なビジネスパートナー。社交辞令だとしてもとても嬉しい。
「一目だけでも会いにいかねば。」東京へ向かった。
1年ぶりの再会だ。満面の笑みであらわれたベニー。固い握手。
「元気だったか?」と目が語っている。
「ベニーのおかげで楽しく商いさせてもらっている。ありがとう。」心底嬉しさでいっぱいだった。
「商売はどうだ。」とベニー。
「おかげさまで何とかやっている。当店にとってGAIOLAは、今では主力ブランドであり、なくてはならないものだ。リピートのお客様も増えている。そのうちGAIOLAショップにしたいくらいだ。」僕の熱い想いにベニーは、嬉しそうにうなづいていた。
今秋のブログで、このブランドとはフィフティフィフティの関係でありたいと書いた。ちょっとおこがましいのはわかっている。日本の田舎の一店舗で地味にやっている僕らが、世界最高の仕立てイタリアナポリで、長年服作りにたずさわっているベニーと、フィフティフィフティ。
ただ、これから徐々にビッグなファクトリーに成長していきたいというビジョンを持つGAIOLA。その世界で一番の理解者でありたいし、ファンでありたい。僕達だけのやり方で微力ながら、その力になりたい。このブランドの行く末にアルバーノも大きくかかわっていければと今は強く思う。
その為に東京へ行って、ベニーに直接僕の想いをいろいろ伝えた。
「AGO E FILO(アンコン)が売れてるんだけど、なくなるそうだね。もし作ってくれるのなら、頑張って売るよ。」ダメもとで聞いてみた。
「よしわかった!アルバーノは別だ。特別に作ろう。」と約束してくれた。
「ジャケットの丈ももう少し短い方が、今の日本ではバランスいいんだけど。」
「短くしてあるんだけど、それならコルト希望と書いてくれれば、もう少し短くしよう。」
ナポリ人と富山人。服を通し、同じ方向を見て意思を伝え合う。
今回もいろいろ収穫はあった。イタリア人は精神もスタイルも恰好いいよ。
グレーのダブルのウインドーペン柄のジャケット。(多分スーツの上だろう。)テーパードした
デニムをロールアップ。ウインドーペンの色に合わせたキレイなブルーのタートルから、ブルーのロンストシャツをチョイ出し。靴はオールデン?頭にのせたグラスのフレームもブルー。
姿勢がいい!ファッションには不可欠。ポーズがまたさりげなく恰好いい。
そして、恒例のスマホで家族の写真を見せる。幼い子供がいるんだけど、ジャケットをきた写真。
勿論ガイオラメイド。ベニーいわく「リトルガイオラ!」
時間はアッという間に過ぎた。でも、すごく充実していた。
なんだろう。僕にとって、今一番大切な外国人、イタリア人である。年齢は僕より少し下かな。今はこうフレンドリーに話していても、将来は僕には手の届かない遠い存在になっているかもしれない。それはそれで、めでたいこと。
でも、これからも毎年年末はベニーの顔を見ないと、年を越せないと思えるようなフレンドの一人であって欲しい。