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2013年12月03日

再会、イタリアンフレンド

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もう2014年秋冬の仕入れが始まっている。早すぎる。今オーダーすると入荷が早くなるよ。代理店からの誘惑。うちはネットショップで競争している訳じゃないし、年明けの本コレクションでこの冬の結果を見ながら、ゆっくりオーダーしようかなと考えていた。
そこへ代理店アルヴェスティから、「ガイオラの社長ペトリロが11月末に来日します。是非アルバーノに会いたいと言っています。」という知らせが。血が騒いだ。丁度1年前の12月、初めてペトリロ氏と会った。僕洋服に対する情熱と夢を与えてくれたベニー(ペトリロ氏の愛称)。
アルバーノにとって、僕にとっても一番大切なビジネスパートナー。社交辞令だとしてもとても嬉しい。
「一目だけでも会いにいかねば。」東京へ向かった。
1年ぶりの再会だ。満面の笑みであらわれたベニー。固い握手。
「元気だったか?」と目が語っている。
「ベニーのおかげで楽しく商いさせてもらっている。ありがとう。」心底嬉しさでいっぱいだった。
「商売はどうだ。」とベニー。
「おかげさまで何とかやっている。当店にとってGAIOLAは、今では主力ブランドであり、なくてはならないものだ。リピートのお客様も増えている。そのうちGAIOLAショップにしたいくらいだ。」僕の熱い想いにベニーは、嬉しそうにうなづいていた。
今秋のブログで、このブランドとはフィフティフィフティの関係でありたいと書いた。ちょっとおこがましいのはわかっている。日本の田舎の一店舗で地味にやっている僕らが、世界最高の仕立てイタリアナポリで、長年服作りにたずさわっているベニーと、フィフティフィフティ。
ただ、これから徐々にビッグなファクトリーに成長していきたいというビジョンを持つGAIOLA。その世界で一番の理解者でありたいし、ファンでありたい。僕達だけのやり方で微力ながら、その力になりたい。このブランドの行く末にアルバーノも大きくかかわっていければと今は強く思う。
その為に東京へ行って、ベニーに直接僕の想いをいろいろ伝えた。
「AGO E FILO(アンコン)が売れてるんだけど、なくなるそうだね。もし作ってくれるのなら、頑張って売るよ。」ダメもとで聞いてみた。
「よしわかった!アルバーノは別だ。特別に作ろう。」と約束してくれた。
「ジャケットの丈ももう少し短い方が、今の日本ではバランスいいんだけど。」
「短くしてあるんだけど、それならコルト希望と書いてくれれば、もう少し短くしよう。」
ナポリ人と富山人。服を通し、同じ方向を見て意思を伝え合う。
今回もいろいろ収穫はあった。イタリア人は精神もスタイルも恰好いいよ。
グレーのダブルのウインドーペン柄のジャケット。(多分スーツの上だろう。)テーパードした
デニムをロールアップ。ウインドーペンの色に合わせたキレイなブルーのタートルから、ブルーのロンストシャツをチョイ出し。靴はオールデン?頭にのせたグラスのフレームもブルー。
姿勢がいい!ファッションには不可欠。ポーズがまたさりげなく恰好いい。
そして、恒例のスマホで家族の写真を見せる。幼い子供がいるんだけど、ジャケットをきた写真。
勿論ガイオラメイド。ベニーいわく「リトルガイオラ!」
時間はアッという間に過ぎた。でも、すごく充実していた。
なんだろう。僕にとって、今一番大切な外国人、イタリア人である。年齢は僕より少し下かな。今はこうフレンドリーに話していても、将来は僕には手の届かない遠い存在になっているかもしれない。それはそれで、めでたいこと。
でも、これからも毎年年末はベニーの顔を見ないと、年を越せないと思えるようなフレンドの一人であって欲しい。

2013年11月11日

店長の愛聴盤シリーズ45

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LUIGI TENCO-ti ricorderai di me...
皆さんお久しぶりのブログです。私のワンマンな語りに、またお付き合い下さい。
日々平々凡々と過ごしておりました。それが幸せってもんですかね。ただ、9月末に健診で20年つきあっている持病が、ちょっと悪化していることが発覚しました。大した事ではないんでしょうが、ガラスの様な僕のハートがグラついていたことも事実です。病気には気が小さいんだよなぁ。
ところで、先週水曜日、東京に日帰りで行ってきました。とりあえず仕事をすませ、銀座の有名中華料理店で、名物餃子を久し振りに頂きました。(餃子星人、大カンゲキ!!)
その後は新宿へ出て、有名百貨店で市場調査です。一応客を装い、42サイズがないことをいいことに、「なかなかないんだよなぁ、俺のサイズ。」と残念なりながら、商品チェック!売れ行きチェック!接客チェック!でも、同業者の匂いってわかるもんです。多分。僕だったら、すぐわかりますもん。
さすが、百貨店のハウスマヌカン(昔はこう言ってたんです、店員さんのこと。)接客は、しっかりしてます。ジェントルマンです。でも、セレクトショップほどあっさりはしていない。僕よりはあっさりしてますけどね。
僕の場合は、「いいのありまっせ~。」(そこまでは言わないか?)。初めての若い方なんかつかまると、大変です。勝手にしゃべり出し、段々ボルテージが上がっていきますから、始末におえません。気がつくと、2時間ってことも。これが、弁護士さんだったら大変ですよ。相当レクチャー代請求しますよ。まぁ、喋った分だけ買っていただければ、どれだけでも喋るまくるんですが、「いい勉強させてもらいました。」と満面の笑みで言われると、「いえいえ、また雑誌でも読んでみて下さい。」僕は、ティーチャーか?まぁ教えることが好きなんで、先生にでもなっていればよかったのかな。
なんか、話が見えなくなってきました。続きを、百貨店を見てからプライベートタイムです。
と言えば、いつものレコ屋まわりです。20時の新幹線なので、1時間位しかない。新宿3軒ハシゴです。時間配分を決めてまわろうとするんですが、そうはいかない。もうパニックです。時間との戦い。何か買わないと損した気分。病気です。
1時間でCD30枚ゲット。2分で1枚決めたペース。ここ数年ハマっているのが、イタリアのシンガー。カンタトゥーレと言います。服同様、音楽もイタリアにどっぷり。もうクレジットにイタリアって、見ただけで抱えてますから。情熱的なんです。歌い方も。僕は、「ニューシネマパラダイス」の様なわかりやすい郷愁、哀愁に弱いので、そんなドラマチックな音楽を求めています。いろんなシンガーを聴いたつもりですが、これは聴いてなかった。これはアタリでした。LUIGI TENCO。僕のイメージにぴったりのしっとりした哀愁ある曲が続く。1967年作。
ナットキングコールの様なジャズっぽい曲も。秋の夜長にいいですよ。300円で見つけました。300円で幸せな気分に浸れる。音楽っていいなぁ。 

2013年09月19日

未完成の美-GAIOLA

完成品、傑作品、人気商品を探し集めて売ること。そうすることが僕達物売りの理想なのか?ビジネスとして、それは自然な方向かもしれない。
でも、オーナーの目指すものは人それぞれだ。新しいもの、無名なもの、未完のものを育て、売ることに生きがいを見出す。
それは、イチかバチかのギャンブルだ。しかし、信念を持ってやってきた。体に染みついている。
きれいごとを言っても仕方ないが、これが僕の性分。食べていく糧だ。
ボリオリやフィナモレの様に気に入り、育てた(一生懸命勧めた)ものが、大ヒットする。嬉しいことは嬉しい。でも、それを期待していた訳じゃない。人気者になった時、完成された時、ひとつ言えることがある。そのブランドをとりまく周りの環境が変わることだ。周りの環境が変わることで、そのもの自体がなんらかの化学反応?を起こす。そうなると、自分達がマイペースで扱っていたことが、コントロールできなくなる。
今回 GAIOLAのキャッチコピーを「未完成の美」とした。GAIOLAの服が完成されてないと言いたいんじゃない。ナポリの服の本質をろくに知らない僕が、そんなこと言えた立場じゃない。長年そこに身をおいたオーナーが作り上げたGAIOLA。その美しさにとりつかれた僕がいる。
当店が長年扱い続ける我が心のボリオリ。100年の歴史を刻んで、DOVER、K.JACKET、COATの傑作品を生んだ。ボリオリは地位と名声を築いたが、失ったものもある。それは、ファクトリーブランドというスタイル。先に書いた化学反応が起こった。
今僕がGAIOLAに魅力を感じるのは、ファクトリーブランドとしての機能。ファクトリーって自由なんです。細かいこだわりに応えてくれる。ワガママになれるし、クリエイター気分にもなれる。ファクトリー、工房、小さくなればなるほど、僕達の声が届く。
GAIOLAは、今いろんなスタイルを提案している。新しいモデルで挑発してくる。
「こんなモデルはどうだい。気に入ったらトライしてみてくれよ。」
GAIOLAに絶対的なスタイルはない。僕達はいろんなニーズを考えながら、オーダーする。
「あのお客様は、このモデルを気に入っているから、このあたりの生地で。」
僕は僕の独断で、店長オススメモデルを選ぶ。GAIOLAというファクトリーブランドをいろんな角度から、皆さんにお見せしたい。
オーナーペトリロ氏の経験値の集大成である。まだ、生まれてから5~6年の若さだ。完成されなくていい。傑作品を期待する訳じゃない。
長く根づいていくには、地道なアプローチだ。少しずつこのブランドの理解者が増えていくのがいい。
失敗はあるかもしれない。それも、ギャンブルだ。
ただ、このブランドとは50対50(フィフティーフィフティー)の関係でありたい。マイペースで静かに太く長く…。

2013年09月10日

店長の愛聴盤シリーズ44

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「BALLADS FOR YOU」-JOHN PIZZARELLI
オリンピックも決まった。涼しくなった。秋冬物も揃ってきた。服が楽しい季節到来。
秋晴れの好天。サニーアフタヌーン。どんな気分だい?
フィーリングルーヴィー。外が見える店だったらなぁ。年いったら、リヴァーサイドにニューショップが夢。
YOKOHAMAにもね。
こんな気分のいい午後は、何を聴こう。ちょっぴりキュートでノスタルジック。いなせなジャズボーカルがいい。
ジョン・ピザレリ。前に一度出してないよな。まぁ、いいさ。やっぱりジャズも洋服もわかりやすいのがいい。固いウンチクなんていらない。(僕がしょっちゅう書いてるって?)難しい顔して聴くのが、ジャズだとは思わない。上から下までスキなくキメるのが、ファッションだとは思わない。
心地よい音楽聴いて、お気に入りの服に身を包む。他に何がいる。今日はエライご機嫌だなぁ。そりゃいい時もあれば、悪い時もある。子供っぽい大人。
デパートの様な紳士でクールな接客は、向かないよ。僕ら小さなショップは、やはり人間味を出さないとね。喜怒哀楽接客。でも、そんな恐い時はないから安心してね。ピース、ピース。
それにしても、お客さん来ないなぁ。店内マイクローゼット状態。お客さん待ってる間、ひとりファッションショー。いい秋冬物揃ってんじゃん。自画自賛。試着の嵐。あれもいいけど、これもいい。こんなツィードでスーツ作っちゃって、ニクイ!勇気あるチャレンジャー。クローゼットにかかりきらない量の、新・旧のスーツ、ジャケット。売り切れるの?古いのもあるから、気に入ったら値段交渉してみたら。やさしい店長のことだ。「悪いようにはしない。」が合言葉。
ジョン・ピザレリ。バラードの夜。昼下がりに聴くのもい~ね。
スタンダードナンバー好きだなぁ。「BUT NOT FOR ME」が流れてきた。
お洒落なスイング。ガイオラのジャケットを羽織る。店内にナポリの風。気分も最高潮。
ファッショナブルアフターヌーン。着心地のいい服が、幸せを運んでくる。
軽く粋なボーカルが、笑顔を運んでくれる。

2013年09月07日

ボリオリ、オンマイマインド-我が心のボリオリ

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R&B、ジャズ、ソウル、ブルース、ポップス、カントリー…ジャンルにこだわることなく、このアーティストは自分の世界観を魅せてきた。
レイ・チャールズ。若きロック少年だった僕に、音楽の奥深さ、楽しさを教えてくれた。レイ・チャールズの代表曲「ジョージア オン マイ マインド」。誰もの心の奥にある大切な情景、郷愁。
僕の洋服屋人生を振り返るには、まだまだ早い。でも、その時が来たら心の中にひときわ大きく輝いているであろう存在、ボリオリ。
時代はカジュアル全盛の昨今。未だにスーツ屋なんか気取って、時代錯誤の戯言を言っているひねくれ者に、長きにわたり夢を見続けさせてくれる。
ボリオリ オン マイ マインド-我が心のボリオリ。イタリアブランドに憧れてから、レポーター、レダエリ…いくつもの大切なクロージングブランドとの出会いと別れがあった。宿命さ。時代の流れには逆らえない。ボリオリと出会って、何年経つだろう。長ければいい訳ではないが。
ただ、これまでのブランドのことを考えると、長く第一線で活躍し続けることが、いかに難しいか。ボリオリの功績は素晴らしい。ただ、過去は過去だ。今でしょ。これからでしょ。
ここ数シーズン、ボリオリへの想いは変わってきた。出会った頃、5年前、3年前と比べて。
特に多くを期待する訳ではない。成熟したボリオリ。風格あふれるボリオリを見て欲しい。地に足をしっかりつけた完成品。そして、語れる服であって欲しい。
「その服ボリオリのDOVERですよね。やっぱりそのシルエットは格別ですよ。」そう言われる服であって欲しい。
今秋冬もボリオリは何食わぬ顔して、クロージングコーナーの定位置におさまった。人気モデルは、堂々と存在感を放つ。やはり、この場所にはボリオリが似合う。匂いがしみついている。
「今シーズンも多くのお客様を魅了してくれよ。頼むぞ。」
そんな想いで一着一着、心を込めて袖を通す。勿論最良のボリオリを選択したつもりだ、アルバーノとして。
(写真は、10年位前にアマンさんからもらった大切にしている貴重な展示会用ディスプレイである。)

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