ボリオリが入荷して約1ケ月経過します。「売れてますか?」と聞かれれば、「まずまず。」と答えることでしょう。「まずまず。」そこが肝心です。日本では世間的には「まずまず」=「絶好調です」となるんでしょうが、僕は正直者です。「まずまず」=「普通です」となります。
ここ数年のジャケット熱、ボリオリが火をつけ牽引してきたことに異論はないでしょう。それももう過去の話です。今はいろんなブランドが台頭し、百花繚乱です。時は流れています。いつまでもボリオリが主導権を握っている訳ではありません。そんな名作・ヒット作、次々生まれませんよ。たかがジャケット、されどジャケット。僕が消費者だとしても、いろんなブランドを試してみたくなりますよ。
ただ、日本の大人の男性にジャケットに対する意識革命が生まれ育っていることは喜ばしいことです。ブランドや縫製、素材ばかりが評価されていた時代が終わり、ようやく本質を自分の目で見極めることが問われる時代になりました。洋服だけじゃなく、いろんなこと、場面でも感性アップにつながれば、僕達も社会貢献していることになるのかなぁ。なんかエラそうですか?
話がそれそうなので、戻さないと。シーズンの始まりを告げる時、必ずボリオリのネタを書くことにしています。なんか同じ内容ばかりかもしれませんが、タイトルは「革新の老舗」から「我が道を往く名門」としましょうか。
世の中の流れには逆らってはいけません。でも、流されてもいけません。流れにうまくのりながら、我が道を突き進んで欲しいと思います。
まずまずのスタートは理想的です。絶好調じゃなくていいんです。どんな世界でも競争は必要です。競争なき世界に進歩はないでしょう。
「ボリオリはもういいよ。」という方は、他のブランドを探して下さい。
「やはりボリオリのスタイルがすきなんだよなぁ。」という方は、是非当店のボリオリコレクションをご覧下さい。そして、自分の感性でセレクトして下さい。
今新作紹介を書いていたら、タイミング良く常連さんが来店です。クロージングを見ておられたので、モチロン接客します。「いい秋物入ってますよ。」そして、着せて、着せて、着させて、着せて…。これが、アルバーノ名物「あなたも着せ替え人形接客」
常連さんには新入荷、そして新作を、初めてそうな方には当店自信作や僕の好きなものをどんどん着てもらう。無意識なんですよ。条件反射で手が動くんです。お客さんが望んでなくても強引に着てもらいます。
お客様が商品を見ておられる間に、僕の手はお客様サイズのフィナモレシャツのボタンをはずしています。タイミングを見て「あたららしいボタンダウン入ったので、ちょっと袖通してみて下さい。」シャツの前を開けて、後ろから羽織らせる状態に。有無を言わせません。「えっ何??」もうシャツの袖はお客様の腕を通過しています。まぁ、大体のの方は断る間もなく着せられる訳です。「この新作ボタンダウンどう思われます?」耳元でささやきます。「どうでしょうか?と言われても…?イイカモ!」そうなることもある訳です。余計なお世話!イヤがられる場合も当然あるでしょう。今の時代接客はソフトに。お客様本位にですから。ちょっと強引なのはわかっております。ただ本当サービス精神のつもりなんです。僕勝手な思いですが、買うつもりもないのにあれこれ着せてとも言えないでしょう。だから、こちらの責任で着てもらうのです。と、同時にお客様の率直な感想、反応もみたいのです。言葉はなくても結構です。お客様の顔の表情のゆるみ、微妙に一瞬キラっと光る目の輝き。見逃さないようにしないと。
ボリオリのコートモデル、フィナモレのセルジオ、シーラップのコート…着せまくりましたね。頼まれてもいないのに。来店された方、ほとんど全員に着てもらっていました。でも、気がつけばそれがヒット商品になってるんです。
今日は僕がフィナモレのモデルになる予定でしたが、細マッチョの常連さんにモデルになってもらいました。これからもお客様には僕の責任でバンバン羽織ってもらいます。決して買ってもらおうなんて思ってませんよ。ご安心を。ただ、お客様が本気で欲しくなった時は…そりゃ責任はもてません。
今時 服は男っぽいのがいい。
今時 服は艶やかなのがいい。
今時 服は楽で軽いのがいい。
今時 服は愉しむのがいい。
今時 服はナポリがいい。
スーツ、ジャケットを魅せる事、極める事、そして、愉しむ事は男に与えられた特権であると同時に永遠のテーマだと考えます。
男を磨く一つの道具であり、趣味として付き合っていければ本望です。
皆様が自分の目でセレクトし、愛用してこられた服の足跡は、自分のヒストリーとして誇りを持ってもらいたい。そこに、アルバーノの服があれば嬉しい。
新しいスーツ、ジャケットが入荷してきた時、僕の気分は高ぶります。
パッキンから洋服を出す時、期待・不安いろんな想いがよぎります。
皆さんがイタリアに行って、サルトでオーダーします。数か月たち、それが自宅に届きその梱包を開ける時と同じフィーリングだろう。新しく入荷してきたスーツ・ジャケットに熱い想い、感情が無くなったら…。洋服屋を辞める時だろう。僕に出来る事は、自分がセレクトしオーダーした想い入れのある商品を熱く勧める事しかないのだから。
新着第一弾でガイオラのアンコンスーツを紹介した。無責任な事を言うようだけど、僕自身ナポリサルトの本質なんてよく知らないので、語るのはおこがましい。洋服屋を長年やっているけど、服飾評論家でもないし、心を動かされた服を見つければ、皆さんに紹介している。ただ、それだけ。
最近ガイオラと出会って、見えないものが見えた。そして、このアンコンジャケットをまとって、ナポリサルトの階段をさらにもう一段上がったような気がする。
皆さんにも是非一度このアンコンジャケットをまとって欲しい。きっと同じフィーリングを持ってもらえると思う。
長年ナポリサルトのディープな世界に身をおいたオーナーからのプレゼント。僕もそうだし、皆さんにとっても服の概念をくつがえしてくれる逸品だと思う。
歳をとり自分の洋服のヒストリーを振り返る時、このガイオラのアンコンジャケットがどの位で位置づけされるのか、今から楽しみにしたい。
「WHITNEY HOUSTON」
最近ブログ書いてないなぁ。と気がつけば、もう20日近くたっています。
オリンピックも終わりましたが、皆様お盆は如何お過ごしでしょうか?
明日15日(水)は、勿論営業しますよ。先週の東京出張の疲れが多少残っていますが、頑張ります。
なんせお盆は、いろんな方との再会があります。今年はどんなサプライズが待ってるかな。楽しみです。
昨日も久し振りのお客様が来店されました。商人として人として嬉しいことであります。
東京から帰省されたナイスミドルのジェントルマン。「エリコ・フォルミコラのシャツが大好きで東京でいろいろ見るんだけど、ここが一番揃ってるんじゃないかな。なかなか東京でもこんな深く絞りこんだ品揃えをしている店がないんだよね。だから、富山に帰ってきてこの店に来るのを楽しみにしてるんだよ。」嬉しいことを言って下さいます。僕にとっては、一番嬉しいホメ言葉だ。
「新宿の百貨店も行くけど、ブランドが多すぎてよほど目的を持っていかないと迷っちゃって疲れちゃうんだよね。だからほとんど買わないよ。」と、ガイオラの新着チョークストライプのアンコンスーツに目が留まりご試着。
「この着心地スゴイね!ボリオリのドーヴァーより軽いんじゃないの。でも、肩の雰囲気がしっかりナポリだよね。」と大絶賛。「スーツなんて買うつもり全くなかったのに、嬉しい予定外の買い物だよ。」ご購入ありがとうございます。「シーラップのトレンチも恰好イイネー。でも、これは今度だな。」また、帰られた際は是非お寄り下さいね。
秋冬ニューコレクションも揃い始め、春夏お宝一点モノとゴッタ煮状態ですが、おヒマな方は是非遊びにいらして下さい。
さて、今日は愛聴盤です。いつも僕の勝手なペースで音楽に興味の無い方には退屈でしょうが、お付き合いくださいな。今日ご紹介するのは、偉大なメジャーシンガー、ホイットニーヒューストンです。残念ながら伝説になってしまいました。
85年発表のデビューアルバム。超大ヒットしました。久し振りにターンテーブルにのせてみました。匂いが80年代ですね。まさに、流行歌は当時の自分を甦らせますね。大学を出て修業の為、レディースチェーン店に就職しました。バブル直前のイケイケ時代です。なんか日本中が加速してましたね。いろいろありましたよ。地獄も見ました。とにかく無我夢中でした。コンクリートジャングル、モンスター東京に飲み込まれもがいていました。あ~ホイットニーのこのデビューアルバム久し振りに聴きます。20代の僕が赤裸々に…。なんか長くなりそうなので、これはまたの機会に。このアルバム、ホイットニーの素晴らしい歌唱力と初々しさ、そしてアップテンポ、バラード、ヒット曲満載です。でも、やはりレコードは曲の流れです。A面・B面の流れを楽しむ。捨て曲は一曲もありません。ヒット曲とヒット曲にはさまれる曲が重要です。つなぎ曲、セットアッパーとしていい仕事しています。ベストアルバムはお得ですけど、芸術性はありません。全10曲の完成されたストーリー性、これがレコードの素晴らしさです。
最近のCDは、サービス精神旺盛で曲が多すぎ、時間が長すぎでちょっと疲れますね。30~40分が丁度いいんです。僕のブログも長すぎ??
ぬるま湯大学を卒業し、社会に出て厳しい現実の中でカベにブチあたる20代の青年には、ホイットニーの優しい歌声が天使のささやきに聞こえました。センチメンタルエイティーズ。
先週来春夏の展示会を見に東京へ行ってきました。行く前に届いた展示会の案内状を見てNEWブランドをチェックしていました。そこに1つ気になるクロージングブランドがありました。たまたまLEONの8月号にも紹介されていました。何をさておきスーツ屋アルバーノとしては、これはチェックせねばと、代理店のトレメッツォさんにアポなし強行訪問(8月にアポをとってあったのですが…。)
ブランド名は「タリアトーレ」。聞いたことはありましたが、実際の商品を見るのは初めてです。早速ジャケットを試着。(ジャケット好きには初めて手を通すこの瞬間がドキドキします。)おもわず息をのみました。「これはイイかも。」トキメキ!ジャケットのカタチ、デザイン、作りの個性と奥深さ…。一つ一つが違う顔を持ちます。
僕はいつもお客様にジャケットをラーメンに例えます。(パスタかピザにでもしろよって感じ?)
味はあっさり醤油?豚骨?豚骨醤油?京都風?麺は太いか細いか、ストレートか縮れているか?固さはどうか?トッピング、チャーシューは?とにかくスタイルは様々です。好みは人それぞれです。ただ本当好きか嫌いかです。自分の視点、感覚が全て。「タリアトーレ」。僕の体の感覚が受け入れました。現代的クラシコ。ボリオリタイプのモダンとクラシックの融合。
勿論ボリオリのスタイルとは違いますが、微妙なスタンス。ここのブランドらしさが少し理解できました。
僕がタリアトーレを気に入ったところは、①勿論ジャケットのスタイリング。ナポリ的ドクラシックモデル、アンコン楽ジャケモデル、コンケープショルダー、イタリアで人気モデル等巾広いスタイリングがある。
②ベストがウリ。このブランドの醍醐味は、他では不可能なベストが共に作れるところ。これは新しい。英国的紳士感と着回しが楽しめる。③ダブルのバランスが絶妙。前にも書きましたが、ダブルのバランス、顔つきって本当に多様化していて難しいです。ラベル巾、Vゾーン、ボタン位置、シルエット…。ここのダブルは、スタンダードだけど恰好良い。万人受けしそう。(若い方でもO.K)④素材の面白さとディティール(ボタン、襟裏仕様)の選択。素材の選び方ではかなり遊べそう。ボタンの選び方では、ディティールファン受け、女性受け確実。⑤プライス!安いにこしたことはありません。アルバーノが求めるプライスゾーン。
こういった感じが僕のファーストインプレッション。ボリオリ・ガイオラ、アルバーノ東西横綱に新参者登場か!しかし、ここまで絶賛しておいてなんですが、まだオーダーは入れていません。
ただ、その日ホテルへ帰ってから夜景を見ながら、妄想にしっかり出てきましたよ。タリアトーレ。
と、いう事は…。皆さんお察しの通りということで。