メリークリスマス。今年最後の商品紹介になるのかな。最後はコレと決めていた。フフフ…。帳尻があったな。シーラップステンカラーアルバーノモデル。
HPを始めてから毎冬トレンチと共に紹介しているマスターピース。
語る僕の口調は熱い。語らずにいられるか。内容なんて覚えちゃいない。僕が勝手に決めた定番。誰も知らないし、紹介される理由もない。アルバーノに来ないと出会えない。長年モデルチェンジは無し。というより、僕たちのようなちっぽけな店に別注なんてしてくれるわけない。同じモノでいいんだ。作ってくれるシーラップというコート屋の職人魂に頭が下がる。
同じデザインの同じサイジングのシンプルなコートを毎年毎年淡々と売り続ける、ススメ続ける。それが僕の幸せ。平穏な日々。
なんだろう。時代が流れようと、このコートは時代に寄り添っていくんだ。定番というのは簡単なようで簡単じゃない。マイナーチェンジすることは男服の掟。でも、それを定番と呼べるんだろうか?
だから、このコートは変わらない。何も。僕が勝手に決めた定番。内容は覚えちゃいないが、毎冬楽しそうに僕は語り続ける…。
ところが!昨年のHPにこのコートは登場していない。どうした、紹介し忘れた?ありえない。
事故、事件。このコートがなぜ出てない。なぜだ!
昨年事件は起こった。代理店が変わった。とりまく状況が変わった。シーラップも変わった。
「新しいモデルで勝負していく。」という通達。
「古いモデルはラストにしてくれ。」ショックは計り知れなかった。
そして、トレンチとこのコートの究極の選択を強いられた。悩んだよ。
シーズンレスで売れるトレンチを選択。このコートは断腸の想いであきらめた。そして、昨冬姿を消した。毎年あるものがないと味気ないものだ。新作シーラップを否定してる訳じゃない。ピーコートを初め新作も評価も上々。それでいいじゃないか。
だけど、古い愛着あるものに女々しいのは男の性。いや、優しさじゃないか。
今年2月の展示会。奇跡は起こった。
シーラップ社長と初対面。開口一番こう言った。
「シーラップのコートは素晴らしい。20年以上お世話になっている。でも、長年やってきたトレンチとステンカラーはどうしても必要なんだ。お客様に感動を与える為に。だから、もう一度作って欲しい。」
イタリア人としてはクールでジェントルマンな社長は迷いなく、「アルバーノには感謝している。もちろんO.Kだよ。」と返してくれた。
ドラマがあったんだ。そんな経緯でこのステンカラーは戻ってきた。
空白の1年はあったけど、僕の念は通じたのだろう。
ホント偶然ブログをあげるこの日、横浜のお客様からこのステンカラーの2代目が欲しいというTELがあった。
ファッションの世界なんて先が見えない。いつまで続くなんて保障もない。定番なんて幻。
今年ラストの商品紹介にどうしてもこの話をしたかったんだ。
商品紹介はしてないね。内容が知りたい方は、TELかメールか、2014年以前の12月あたりのHPを巻き戻してみて下さい。
今日も僕は淡々とこのコートを同じ台詞で勧め続けている。
「流行」を探す。追いかける。そして、仕掛ける。
それを提案できなければ、服屋として失格なのか。
毎シーズンテーマや理念をかかげて量産、量販し、ライバルに競合していくのは大型店の宿命。
大変だと思うよ。でも、失敗しても自分の腹は痛まない。
しかし、僕たちのような小さな店の役割は違う。現場に長年立ち続けていると、いろんな人が訪れる。
「今の流行はナニ?最新のお洒落なものを勧めてよ。」
そんなこと言う人は、ほとんどいない。
トレンド、知識は雑誌などで勉強されている。消費者の目は肥えてきている。どこでも買えるもの、量産されたものは必要ない。
流行、トレンドを飛び越えた魅力あるモノをピンスポットで用意するのが僕達仕事人の役目。
だから、ひねくれた目を持たねばならない。いつからかそんな道を選んでいた。
いろんな人が来る。臨機応変に変えていかねばならない。でも、ブレてはいけない。
難しいけど、現場でいろんなことを吸収していくこと。結局自分にしか出来ないんだ。誰も自分の代わりは出来ない。
名選手が名監督になる訳じゃない。感覚は教えられない。
選び方。見せ方。売り方。テーマは決めてないし、マニュアルなんてありえない。初心者から上級者まで、いろんな角度からアルバーノを仕掛けていく。
今日は僕が選んだブランドなんだけど、本当は選んだものじゃない。
選びたいんだけど、僕にはそれを売りこなす力がない。
流行を超越したところにあるピンスポット。光は見えるんだけど、僕にはしっかりとつかめないんだ。
2年前にトライはした。“GABO”ナポリブランド。
現在アルバーノでは休暇中。ブログで熱く語っていたことが恥ずかしい。
ずっとラブコールは受けている。今もスーツ、コートを借りている。
今日はその中からおススメのチェスターコート。
目の肥えた人なら一見して惹きつけられるだろう。袖を通して納得してもらえるのは間違いない。
ワイドなラペルとハンドを駆使した作りの良さ。
安くはないけど、この雰囲気、作りを考えれば、決して高いとは言えない。
ハウンドトゥースのブラウンとチャコールグレー(チャコールグレーのダブルもある。)バックベルトがまた恰好良い。
こういうブランドを育てていくのは大型店じゃない。
流行を追いかけない僕達のような小さな店の役目なんだ。
しっかりしろっ!!アルバーノ!
先日ひと段落した来秋冬プレコレクション。主要4社をまわってきた。
いつものようにお決まりの生地を確保。まずまずの手ごたえの中向かったのは、フェリージのフィーゴ。今回は、フェリージじゃない。どうしても見て欲しいと言われていた、新クロージングブランド。
スーツ・ジャケットのブランドもかなり固まってきたし、もう見る必要ないんじゃないの?
そうなんだけど、一番古いお付き合いのフィーゴに声をかけられると、何かが起こりそうな予感がザワザワと体の奥から沸き起こるんだな。
人間関係でもそうだけど、ここと付き合ってれば「福がある。」と信じることも大切な訳で。
見てきましたよ。この目で。何かが起こりそうな気配?感じましたよ。ホントに。
具体的に言うと、価格とスタイリングが非常に良い。価格にはトコトンこだわるアルバーノもびっくり!カンゲキ。それでいてこのカッコ良さ。流石フィーゴ。いつも褒めちぎってるけど、そのうちなんかいいこともあるっしょ。きっと。
後は、素材次第。でも、新しいポジションとして、新しい客をキャッチできる予感。
とにかく、来秋冬の予算だよなぁ。他を削るか。勝負に出るか。罪な代理店だよ。
今日は巻き物いきます。ストール。3ブランドほどやってるんですけど、その中から長年お世話になっています。あまり紹介してなかったな。ナポリのカラブレーゼ。ネクタイのブランド。丁度良いプライス。こういうのはインスピレーション。そして、センスですよ。展示会でサンプル見て一目ぼれです。
でも、こういう柄物って見ていいと思ってもつけてみると、顔に合わなかったり、巻いてみると見た目以上に意外と良かったり。
しかし、どうしても好きなタイプ、苦手なタイプ、分かれますね。
モチロン、ジャケット・コートとの相性もポイントになってきます。柄物の服の時は無地のものが無難でしょうけど、ストライプやシンプルなチェックならこんなタイプでもいけますよ。
フィレンツェの街を歩くと、グローヴショップが目立つ。皮の国だ。
昔 一軒のグローヴの店に入った時、肘をついて手を出せと言われ、その通りにすると次から次とグローヴがはめられていく。測った訳ではないのに、サイズがピッタリ。驚いた。
気の弱い僕は当然買わずに帰れなくなり、3つほど買ったのを覚えている。グローヴショップは、夏も同じように営業しているのかな?まさか夏は休業とか、商売変えする訳じゃないだろう。
日本でグローヴ屋なんてお目にかかったことがない。それなら、僕がイタリアグローヴ屋をやっちゃおうかな。いや、店は無理だろう。だったら、店の一角にコーナーでも。カウンターでも作って、グローヴ&カフェ。コーヒー飲んでるお客様に手を出してもらい、次から次へとしつこくはめていく。
「これ、気に入ったから頂こうか。」
「ありがとうございます。コーヒー代はサービスしますので。」 イイカモネ。
今日ご紹介するCARIDEIのグローヴ。今年は結構売れてます。
いろんなグローヴメーカーも扱いましたが、3年前からCARIDEIのグローヴ、ナポリから直輸入しております。だから、1万円台で十分いけます。
高級感あるクォリティ重視のモノもいいですが、僕のイメージでは主張あるデザイングローヴをファッショナブルに提案したいです。アクセサリー感覚でね。いくつあってもいい。プレゼントにもらっても、
グローヴなら実用的だし。本場イタリアのグローヴが一万円台だったら、毎年買い足していって、服によって使い分ける。オシャレに見えるし、話のネタにも多少はなりますよ。グローヴはおしゃれの隠し技ですよ。
僕の趣味もあって、選ぶのが楽しいんですよ。いつものコンビネーション。
モデルを選び、100色近い色のバリエーションから色んな組み合わせを考える。ナッパ、シカ、スウェード、ニットの多彩なコンビ。
「あのピーコートとこのパンツに合わせて、このカラー。このスーツにマフラーだと、このカラーが差し色。」
イメージの世界。
売り切れたものもあり、現在はこんな内容。1点モノもまだ他にあります。
コートのポケットにチーフのようにさすのもよいし。遊べるグローヴ。
今年の売れ行きいかんでは、グローヴ&カフェ、マジで考えようかな。
クラシックな佇まいに、ほんのりと香るデザイナーのラグジュアリー感。静かなる色気と相反する躍動感が交錯するように表情の豊かさを醸し出す。
まさに英国的伝統をイタリアのラテン美でコーティングしたようなミニマルな完成形。このピーコートには、キングの風格が漂う。
昨年登場したシーラップのピーコート。まさにレガシーなんて流行語じゃないけど、使いたくなってしまう。
ロングタイプとミドルタイプ。ロングタイプは、残りわずか。ミドルタイプは、今季のコレクションにはなかったので、アルバーノ別注となっております。
打ち込みの強いメルトン。内側には断熱材サーモアが入り、防寒は万全。
タイトな肩幅に自由に扱える大きな襟がシーラップらしい。BODYはダブルのジャケットを着ているかのようなシャープさ。
世の中いろんなピーコートがあるようだけど、カッコ良さ、色気をシンプルに表現しているものは見たことがない。
何の変哲もなく見えるピーコートではあるけれど、ぜひ、袖を通してみて欲しい。
どんな気分だい?
僕の伝えたいことはそういうことなんだ。
大人が着る、大人の為のピーコート。