こんなことになろうとは誰が想像しただろう。
時は10年以上前にさかのぼる。今からは想像がつかない程小さなショールーム、グレーマー。(現アマンの前身。)
そこで、僕は翌年から展開される日本初上陸のファクトリーブランド“ボリオリ”と劇的に出会うこととなる。
袖を通した瞬間からそのフォルムに魅了された僕は、このブランドと心中しようと決意する。
特にCOATモデルと初対面した時の衝撃は鮮明に覚えている。
「他のブランドはいらない。直輸入しプライスを下げ、クロージングコーナーをボリオリで埋め尽くせ。」ボリオリを仕入れる時の高揚感。
そして、出来上がった作品(製品)を、お客様に熱く勧めることが生きがいだった。そんな売れまくった訳ではないけど、すごく充実した心躍る日々だった。
ホームページを始めたのは、まだ5年前。それまでは地元の人に地道に勧めていた。
ボリオリ社(当初はルーカスモーダ社と言った。)は、サルトからスタートした歴史ある優れたファクトリーであり、長年直輸入していたが傷物やサイズブレなど一切なく安心してインポートできた。
そして、ボリオリの魅力を引き出したのは、ピエルイジ(現GIGIデザイナー)の感性だった。クラシックの中にひねったエッセンスを盛り込む絶妙なさじ加減が、モーダと違ったワンアンドオンリーのスタイルを生み出す。
それから時は流れ、ボリオリは世界のボリオリとなるのである。ボリオリ一族がついに経営から離れた。当然ものすごいショックを受けた。
直輸入できなくなった。でも、ファクトリーだけは絶対だ。ボリオリが作れば、間違いはないはず。信じるしかないだろう。コントロールできなくなったプライス。ファクトリーブランドというスタイルの脱却。トータルブランドとしてのベクトル。いろんな取り巻く状況は変わっていく。それでもポジティブに状況を見守った。ボリオリはボリオリ。アルバーノには必要不可欠な存在。
昨年11月にプレコレクションを見た。新しいボリオリワールドが広がっていた。プレゼンを聞いて、自分で試してみた。
なんだろう?心から湧き立つようなものは感じなかった。メゾンブランドを手掛けたデザイナーが作りだす完成された世界観が表に出て、過去の名作達は陰が薄れたように感じた。
「ファッションは流れてるんだ。進化してるんだよ。」そんな声が聞こえた。
“革新の老舗”、“長い友との始まりに…”ブログで熱い想いを何度も何度も書いた。
ただ、今このブランドを昔のように高いポテンシャルでオーダーできるか?自問自答。
長い間苦楽を共にした同志だ。嫌いになった訳じゃないよ。
僕にはこんな着飾らなくても、地味に輝いていたボリオリの残像がある。ボリオリというファクトリーを手の平で好きに転がしていたピエルイジのお遊びに惚れていたのかもしれない。
どんなに信頼している好きなファクトリーが作り上げたものでも、そこに好きな魂(デザイン)が宿ってなければ、抜け殻だ。
レシピが同じでも作る人の魂が入ってなければ、味は違うのと同じだ。僕は学んだ。男の服の世界の奥深さを。僕は、スーツ・ジャケットが好きだ。そこには敏感だ。
COAT、DOVERモデルは、今でも健在だ。色あせたわけじゃない。今春夏も仕入れていたし、昔のように勧めている。だけど、ブログでは紹介しなかった。
あえて今声高にというのもどうだろう。“富山のアルバーノにボリオリあり”それも今は昔だ。
前にも書いたけど、「レールにひかれたマンネリな仕入れなら辞めた方がいい。」
もう一度言うけど、嫌いになった訳じゃないよ。僕もCOAT、DOVERは、今も宝物のように着ている。
しかし、ファッションってやはり着る側も売る側も気持ちのトレンドに逆らっちゃいけないと思う。いわゆる定番と言われるものにしがみつくのはナンセンスだ。
初心に帰ろう。心がときめくものを素直に受け入れよう。
ボリオリも新しいスタイルを提案している。そこにときめきを感じるか?
そこだよ。そこに心ときめくものがないなら、答えは出ている。
ツライ決断ではあったが、そんな訳で(長すぎるね。)今秋冬、新しいボリオリは入らない。
今まで当店でボリオリを買って頂いた方々からは、さみしいという声も出るかもしれない。
皆さんが購入されたCOAT、DOVERは堂々と着続けて欲しい。
そして、僕は“富山のアルバーノにボリオリあり”という時代があったことに誇りを持ち続けていくだろう。
来春夏の展示会も終わった。有名・無名いろんなブランドをチェックした。
先の事は考えずに生きているが、毎回これだけは半年先を見なければならない。
僕達はネットで勝負する事を選ばなかった。だから、有名ブランドを集める必要はない。
流行を無視する訳じゃないが、そこに流されることはしたくない。フリーダム。
レールにひかれたマンネリな仕入れなら、商売辞めた方がいい。スリルとアドベンチャー?を実感出来るような独自の世界観を作りたいし、そこに自分が愉しめるか、お客様に愉しんでもらえるかだろう。
とは言っても、今の時代ネットに頼らず実店舗で勝負するのは簡単ではない。新しい事にもチャレンジしていかなくてはならないだろう。
そろそろ秋冬物を展開するタイミングだ。近日沢山の秋冬モノが入荷する。その中に新しく扱うクロージングブランドがある。
アルバーノにとっても一つの挑戦である。大袈裟にとらえられるかもしれない。
長い間商売やっていると、いろんな事が移り変わった。ただ、一つだけ変えていない信念がある。
プライスだ。アルバーノプライス。そこだけは自分の中で筋を通してきた。
どんなに恰好良くても、自分がお金を出せる代物かどうか。それはお客様が決めることだし、人それぞれの物差しがあるのは判る。
ただ、そのこだわりが当店のアイデンティティーであり、裏で自分なりの努力はしてきた。
近日入荷するこのNEWブランド。知名度の高いブランドならまだしも無名である。それはいいのだが、アルバーノがこだわってきたプライスをかなり上回る。
でも、仕入れたという事は自分でもお金を出す代物だと判断したからだ。
詳しい事はモノが入荷してからだ。
デ・ペトリロ(旧ガイオラ)で、初めて経験したナポリ服。そこにステップアップしたスタイル。
自分の感覚を信じた。今の当店のお客様はどう感じられるだろうか?
今秋のスリルとアドベンチャーをゆっくりと愉しみたい。
最近ブログをさぼってますので、こちらの方でブログをかねて商品紹介をします。そんな訳で長くなりますのでご理解下さい。
今日は2週間前の展示会状況(今頃かいな。)と未紹介のモノを紹介します。
台風上陸、暴風雨の中(2週間前)向かったのは、青山一丁目フェリージを扱うフィーゴ。
いろんな代理店を回るんですが、一番古いここはお堅い商談もなければ、緊張感もなし。知り合いの家に遊びにいく様な感覚。いい意味でリラックス出来ます。
特に会いたくはないけれど、しばらく会ってないとなんか気になる存在の担当Sさんと過去の担当者、お馴染みの顔が迎えてくれます。
年に2回行われる恒例行事ですね。フェリージ教の集会ってとこです。25年も続いてるんですからかなり信仰は深い。25年間、年2回、一回30個のバッグをオーダーしたとして30×50=1500個も売ってる訳で。ヒャ~、立派な宣教師だ。1500人もの信者をつけてきてるんですよ。
そんなフィーゴで行われる年2回のオーダーの儀式はこんな感じ。
新作定番一通り目を通し、オーダーするバッグをテーブルに持ってくる。今日紹介する3連ブリーフ。皮の色を8色位から選ぶ。サイドのマチの部分のナイロンを考えている。
「皮の色がこれならどのナイロンでも合うなぁ。ちょっと意表をつきたいなぁ。」
一生懸命悩んでいると、どこかに行っていたSさんが戻ってきて、「アッ、真剣に悩んでる。ど~したんですか。固い、固い。」
黙って僕はナイロンの色カードをテーブルに並べて、腕を組みニラメッコ。
「これは無難だからこの3色あたりに絞りこもうかな。」
悩むと長くなる。僕の性格を知り尽くしたSさんが呟く、「そんな軽井沢良かったなら、別荘買っちゃえば…いくらくらいすんのかな?」スマホで調べ出し、「4千万もすんのか!」
他の営業マンも話に加わり、あ~でもない、こ~でもないと脱線していくパターン。
「おいおいオーダーどこまでいったけ。」と僕。そんな感じで時間が過ぎていく。
来社する時必ず「今日は2時間で終わるぞ。」と相棒に言うと、「ムリ、ムリ、4時間だな。」
「あともあることだし、無駄な話はしないからな。」と言いながら、心の中では4時間みてる自分がいる。まあ~いいんですよ、ここは。
他の代理店で集中して疲れた頭を心をリセットしてくれるんなら。
そんなゆる~い空気が流れてるんです。25年にわたる信頼があるからかな。
そんな余裕のオーダーがなくちゃ25年間も続きませんよね。
Sさんが十数年ぶりに僕達の担当に返り咲くんですから。
今回もいつも通り僕の妄想と思いつきで、皮とナイロンのコンビネーションを決めました。伝説のアコーディオンブリーフ。どんなコンビかは来年のお楽しみ。
今日は4月頃入荷した今年バージョンです。と言っても1マークでした。
ミディアムブラウンのレザー×ネイビーナイロン。
まだ2マークあります。(昨年12月にご紹介済)。ネイビー×ボルドー、ライトブラウン×パウダー。
今秋冬、もう1マーク入荷予定です。
もう1型この春入荷したレザーとキャンバスのコンビネーション。
ダークブラウンのレザー×ラピス(キレイなブルー)。もう1色ネイビーのレザー×ダークグレーのコンビネーション。これも僕が楽しんでセレクションしました。ストラップもつきます。底に鋲もついてます。
「ナイロンフェリージならそこらじゅうで見かけるから。」
そんなちょっとヒネくれた方にはおススメのレザーブリーフ2型。これを持つだけで仕事が楽しくなるのは間違いありません。
SALEがスタートして1週間が経ちます。束の間の緊張感もちょっと緩んだかな。ホッと一服。と、言ってもまだ1週間ですからね。アルバーノのSALEはロングランです。まだ、まだ、まだ、まだ。あっちにもこっちにもお宝が!
ここ1週間、全国津々浦々からご来店、感謝、感謝です。
やはり来店されて、「こんな店、どこにもないよ。来てよかった。」と、言われる様な演出しなければ。
もう、秋冬物スタートしてるお店もあるようで。早すぎません?いや、需要があるんなら、僕らがのろまな亀なのか。とは言え、当店も壁の向こう側には、1年中シーズンオフのものが待機してますから。2、3分あれば、お客様のサイズ見つくろいますよ。
ナニ~?もう出てるって!ピンポーン!アルバーノの売り場に「スキマ」と言う文字はナシ。常時、ビッシリがモットーです。奥からわいてくるって言ったでしょう。
実は、7月は当社決算なんです。売りつくせ~!売り飛ばせ~!在庫を消せ~!店にまるもの全て売りますよ。見積もり出しまっせ~!春夏モノ、秋冬モノ。店内のものはモチロン。壁の向こうの向こうにある蔵からシークレット品(待ってました)。
僕もそうなんですが、店に出されてないものに結構興味わきませんか?
「ちょっと待って下さい。奥から今出してきますから。」この言葉に弱い!自分だけ見られる優越感と期待でドキドキします。
もしお客様ご希望であれば、什器なんかも如何ですか。(そろそろ新しいのに買い替えようかと。こういう別注ものって結構高いんですよ。カウンター、ディスプレイ棚、部屋にはまればオシャレかも。
あっそうそう、僕の愛しのジャンクコレクション(インテリア、アート)、音楽(レコード、CD)モノお譲りしましょうか?要交渉。
「これならこれくらいでいいですよ。悪いようにはしません。」合言葉。
しつこいようですが、7月は決算。と言うことは、7月の僕は超アマ~イ。心の中はスキだらけ。ノーガード。皆さん、こんな僕につけこまない手はないでしょう。土足でどんどん入って下さい!なんなりとワガママ放題言って下さい。出来る限りのことはいたします。これが本物のアルバーノ祭りであり、世間一般で言うところの決算処分というヤツですよ。
なんかとりとめもなく書きましたが、現在の店内の様子をお伝えしま~す。
レディースコーナー、アウターコーナー、O.V.Sコーナー、カジュアルコーナー、スーツ・ジャケットコーナー、アットランダムコーナー…。ブログにのったもの、のってないもの。まだ決算までありますよ。1年で一番甘~いスイートな僕が電卓をたたかせていただきます。
先週3連休を頂き、一足早く小バカンスを楽しませてもらいました。
7月からSALEがスタートしますので、6月後半がちょっとゆっくりできる時季なんです。
国外脱出も考えましたが、まだ行ったことのない軽井沢へ行ってきました。
さすが軽井沢、日本のリゾート見どころ満載でした。その感動は近々ブログで伝えたいと思います。
さて、新着情報なんですが、春夏の入荷はとっくに終わり、秋冬の商品がスタンバイしております。
今回未紹介の商品も沢山ありますので、少しでもお見せしたいと思います。
そんな訳で、サイズが揃っているものはそうございませんが、ルジェッロのシャツです。
やはり、素晴らしいシャツは着用してみないとわかりません。100年にわたり受け継がれるシャツ作りの伝統。そこに完成されたルジェッロ独特の製法が宿ってます。購入された方のリピートも非常に多くなっています。
順番に8枚紹介します。
まずは、ワッフルの様な荒めの織りのコットン。ブルーグレーの色のトーンにくっきりとしたストライプ。洗いがかかっていて、非常にソフトな着心地です。
2番目、これはサラっとした薄い素材。これからの季節にはピッタリ。
3番目、リネン100のグレンチェック。グレー×紺。柔らかい洗いでハリを優しく仕上げてます。
4番目、写真では判りにくいですが、ボルドーのストライプ。コットン素材は、ジャケットのインナーにいい感じ。ニットタイを合わせるのもいいかな。
5番目、これは鮮やかなブルー×白のクッキリストライプ。最近あまり見ないようなストライプ。ハリのあるコットン。
6番目、これもハリのあるコットン。千鳥格子の様に見せてるドット柄。ウォッシュハードにしたつもりだけど、キレイめに仕上がっている。
7番目、優しいピンクのストライプ。リネン100のサラサラ生地。涼しそうです。
8番目、ブルー×白のベーシックなストライプ。オールシーズン合わせられます。
全て5か所ハンドはお決まりです。襟型も全て同じでMILANO、という前3.5㎝後ろ4.5㎝のワイドカラーです。