20年以上付き合いのある常連さん。名前はわからない。
いつもキャップをかぶっているので、「帽子のおじさん」 と呼んでいる。
ほとんど買うことがないが、やたらフレンドリー。フトコロの事情は知らないけど、買うことよりも服を見ることが趣味のようだ。服を触り、広げて、縫製、生地を細かくチェックする。サイズを測るのは、ハンド。片手を広げて、2つと半分で50cm。
しばらく姿をみせなかったが、最近 久しぶりに現れ、
「君んとこ、商品変わったな。前はこんな柄入れんかったよ。腕 上げたねぇ。」
完全上から目線。いや、全然気にしないんだけど、たまにムカつく時もあるが、ただ 僕はそんなオヤジさん結構嫌いじゃない。
それはそりげなく僕のことを認めてくれるからだろう。
「君んとこで買ったヤツ、10何年経ってるけど、全然丈夫だよ。あのニットブランドなくなったもんなぁ。」
「服は触らんとわからんよ。」
やっぱ、こういう服好きな人が来店して、いろいろ客観的に見てくれる。そして、辛口・甘口好きなことを言ってくれる。
今はそんな人いなくなったよな。
いつも帰り際に僕を手招きして、キメの台詞。
「あんちゃん、いいこと教えてやろか。君んとこにはチャイナがないのがいい。」
たまにあったりなんかするんだけど、まぁ いいっか。
今日は、初登場のシャツブランド。ナポリのサルヴァトーレ・ピッコロ。
かなり前から雑誌で、ピッコロ氏の着こなしのセンスの良さを見ていた。
きっといいシャツを作るんだろうと想像していた。
今回 初めてUAさんが、サンプルを用意してくれた。
思ったとおりのカッコ良さ。初トライアルした。入荷は遅れたが、シャツジャケットとカジュアルシャツをトライアル。
今日は、シャツジャケットを3マーク。
まずは、リネン100%のストライプ。ブルー×グレー。
次は、コットン・リネンのネイビー。
最後は、コットン・リネンの白黒大柄チェック。
カフス付き。サイズは42~48。若干ゆるめのシルエット。
ジャケットのプライス5、6万。いつもはプライスを表示せず、先入観持たずイメージしてもらう様にしている。想像より安いとうれしいじゃない?
昨秋冬からスタートしたナポリのサンタニエッロは5万円で、この世界に仕掛けてきた。
シャツジャケットじゃないよ。50年やっているテーラードだ。完全に新しい世界を開拓しようとしている。
クラシコイタリアの世界も多様化してきた。超高級服が認められる。
低価格の服でも認められる存在も出てきてもいいんじゃない。しかし、安かろう、悪かろうじゃやらないよ。
サンタニエッロのいいところ。
①新しいイタリア服ファンを狙っている。
②サルトリアーレのスーツの完成度。
③製品洗いジャケットには、エクスクルーシヴ(オリジナル生地)が多い。
④製品染めの味だしがいい。
⑤遊び感覚で、色・柄に挑戦できるプライス。
ジャケットを3マーク紹介します。
マイサイズが無い為、着用写真は無しです。
まずは、コットンシルクのエクスクルーシヴ生地。色数が多いのもここの製品染めの特長なんですが、悩んだ末ネイビーにしました。織り感が独特の幾何学風。
続いて、コットン、ラミー(麻)の洗い染め。色はライトブラウン。着回しがききそうな大人ないい色。
ラストが展示会で、一番に決めたサンプルズバなヤツ。
コットン・リネン・ポリ・ナイロンの4者混。ベージュベースに赤茶のウインドウペン。色気タップリのエレガントなエクスクルーシヴ生地。Tシャツとジーンズだけでも決まるねぇ。
たかがシャツ、されどシャツ、やはりシャツ、頼むぜシャツ。
暖かくなると上半身はシャツが主役になりたがる。
いいシャツは誰の目にもわかるよ。美しいシャツ、カッコイイシャツ。ルーズなシャツが気分だって?
タックパンツも定着してきたことだし、そんなNOWな着方もいい。
でも、ビジネスを考えると、ノーマル、クラシックモデルだろう。
イタリアはシャツ屋の宝庫。それぞれに特徴がある。
今日はシャツのフィッテイングに注目してみよう。
ルイジ・ボレリ(L)、エリコ・フォルミコラ(E)、ギ・ローバー(G)、ボルゾネッラ(B)の4ブランドを比べる。全てドレスモデルに洗いがかかっている。37cmのネックで比べた。
まず、一番シルエットの要になる場所、肩幅サイズ、L40、E44、G41、B40。
Eは大きく思うが、僕の肩幅でジャストくらい。それ以外はかなりタイト。
肩先が2cm位ずつ袖の方に出る。肩がピッタリ吸いつくけど、窮屈感はない。
フィナモレも40cmだが、このタイトショルダーは日本人に人気。イタリアらしい立体感を強調した肩だろ。
上胴(バスト)は体型的に気になる部分だろう。確かにバストのフィット感でサイズを決めるのが普通。(タイドアップの場合は、首回りだけど。)
L49(後ろ50)、E47.5(後ろ48.5)、G48、B49。
平置きして前と後ろのサイズを測っただけだが、LとEは前後ろが違う?LとEは前見頃が1.5cm大きくなっている。(写真上から3番目)。
バストではEがタイトだが、肩幅は普通なので逆三タイトのイメージ。後は肩がタイトなので、バストの差はそんなに感じない。
LとEの様に前後アシメトリーなのは、シャツに限らず他のアイテムでもイタリアモノにはよくある。
エリコはボレリから独立してるから、パターンも似てるのだろう。そんなアシメトリーのパターンが立体感を生むのだろう。
服を探しに行く時は、ボケットにメジャーをしのばせていくといいかも。
自分のサイズをメモっといて、さりげなく比べるのもいい。
でも、イタリア服はサイズだけじゃ判断できないんだよなぁ。だから、面白いのだ。
アルバーノでは試してみたいと思う前に、着させられるから。(イッツマジック)。
今日のアートは、4マーク。
まずは、ルイジ・ボレリ。流石ボレリ。吸いつくようなフィット。コットンストライプ。
次は、エリコ・フォルミコラ。当店の一押し。フレキシブルワンピースカラー。サイジングは逆三ドレスタイト。この襟はカジュアルに最高!
3番目は、ギ・ローバー。パイルっぽいコットンのストライプ。カッタウェイでシルエットは、安心感のあるタイト。
ラストは、ボルゾネッラ。サッカーのボタンダウン。このシルエットも攻めてるよね。
今回の4ブランド、フィッテイング検証の結論は…、「みんなイイネッ!」
参考にならんね。
今の日本において、ダブルはどんな状況におかれている?
ダブルと聞くと、「バブルの時流行った、貫禄あるエライ人が着る特別なジャケットでしょ。自分にはハードル高いよ。」
といったイメージがあり、遠ざけている人は多いと思う。
クラシックなジャケットスタイルとして、もっともっと広がりをみせてもいいと思うんだけどなぁ。
コートにおいてはダブルの合わせは抵抗ないのに、ジャケットはなぜ身構えるんだろう。
コートでもそうだけど、ダブルのデザインにもいろいろあって、キマった時には誰の目にもカッコイイはず。
そこで気にして欲しいのは、「ダブルはデザインなんだよ~。」ということ。
似合うダブルもあれば、似合わないダブルもある。好きなダブル、嫌いなダブル。ダブルなら何でもいい訳じゃない。
ちょっと話はバブル時代にワープしよう。イタリア服=バブルの象徴=ダブルスーツ。
僕達オヤジはダブルの何にこだわったか?
作り、縫製よりも、素材、色、そして、デザインだった。
アルマーニ、ベルサーチ、フェレ、ベンチューリ、ヴェリー…すごい数のイタリアンブランドがあり、それぞれに違う顔のダブルがあった。ウルトラマンの怪獣のように。
でも、そんなン10万円のスーツ誰が着てた?郷ひろみ?夢の夢。
一般人はイタリアン風のなんちゃって日本製ダブルスーツですよ。
それでも10万はした。襟の形状(上衿、下襟のバランス等)、ゴージライン、ラペル幅、合わせ幅、ボタンの数、そして、配置バランス、Vゾーンの広さ。
まさに、ダブルはジャケットというアイテムに描かれたアートだった。
話はそれたが、現代に戻ろう。S、Lのダブルは上衿と下襟の切れ込みが浅く、ラペルは広いラウンド調。人気Tのダブルはシャープだ。6つボタンが全体の上に配置され、ウエストの絞りも高い。
昔 好きだったBのドーヴァーは細ラペルにハイゴージ、Vゾーンは狭いが、ボタンの間隔は広かった。
そんな風にブランド毎にダブルの特徴はある。普通なデザインブランドもモチロンある。
だから、試着してみて、何が自分に魅力的に感じるかだ。
バブル期と違うのは、本場イタリアの立体感のあるカッコイイダブルが、アウトレットに行かなくても手に入ることだ。なんて恵まれた世の中!
話は長くなったがここまでひっぱったのは、当店で扱うGABOのダブルジャケットの魅力を伝えたかったからだ。
初めて見た時から、ちょいワルなナポリの匂いが漂っていた。超個性的、一見でGABOとわかるデザイン。3年やってきて、「なんかこのダブルのデザインハマるなぁ。」称賛の声多し。
もう少しノーマルなダブルもあるんだけど、ワイドラペルのPANAREAモデル。13cm幅の太いラペルだが、Vゾーンが狭く、第2ボタンへ向かう襟の角度が鋭角でシャープ。ヤンチャな大襟が意外と上品に感じる。
モチロン存在感はダップリ。ネイビーフレスコ調にブルーのウインドペン。
GABOはブレがない。このダブルモデルはGABOのアイデンティティ。
古き良きスタイルは、現代のスタンダードとして、ファンを増やしていくだろう。
売れる服の方程式・1。主張の強い代表的モデルがある。
イチローがセーフコフィールドで開幕戦に立った。
感無量だよ。お膳立ては出来た。求められるのは結果のみ。
イチローにとって大事なターニングポイント。
でも、僕はそんな期待しないようにしている。冷静に見守るしかない。
それは、このシアトルがラストチャンスとは思わないからだ。通過点。
イチローは入団会見で言った。「皆さんは僕が50までやると思ってらっしゃるだろうけど、最低50までと言ったんでそこんとこお間違えなく。」
しびれたなぁ~。この男はどこに向かってるのだろう。
ホント今の自分に自信、確信がないと言えない台詞だ。
僕は、イチロー信者だ。だから、彼の有言実行を願ってやまない。
金字塔は打ち立てた。あとは退くのが世間の常識。
でも、イチローは後ろは振り向かない。今から次のシナリオをイメージしている。ストーリーの二幕はスタートした。
前人未踏の領域で、野球バカの夢は続いていく。
ベースボールの最高舞台に彼が必要とされ続けるまで…。
さて、このパンツブランドを始めて何年経っただろうか。初めてTELした時のことは覚えている。
雑誌にバンバン出始めた頃、
「あの~○○(代理店名)さんから、紹介されて初めて電話するんですけど…。」
担当者「ウチは紹介とか、そういうの受けてないだよね~。」という冷たい反応で断られたっけなぁ。
その後、先方から承認されて取り引きが始まったんだけど、当時はビッグネームのブランドが欲しくて、アプローチしたんだ。
インコテックス。やはり、ビックネームは新しいお客様へのアプローチにも必要だ。
今でも「富山で扱ってる店があるって知らなかった。東京まで買いに行ってたよ。」
なんて、なんていう無名な我が店!
富山の皆さ~ん、ずっとやってますよ、インコテックス。
今日はカジュアルライン。スラックス。モデルは、人気603。
ノータック、スリムテーパード。コットンギャバのストレッチ混。色は、オフ白とネイビー。
もうひと素材、コットンリネンのベージュ。
タックパンツがいくら出まわろうとも、この美脚テーパードスリムは、何食わぬ顔して我が道を行く。