好きなモノにこだわり続ける。僕は執着心が特に強いのかな。
洋服だってお気に入りのものは、ずっとそばにおいておきたい。
当店が10年やってるトレンチコート。これが本当にいいのか、どうなのか。
いろんなトレンチを着まくった訳じゃないから、これが最高かどうかはわからない。
でも、今まで着たトレンチの中で一番恰好良いと思うからやり続けている。
ビッグメゾンのコートを手掛けるシーラップが、当店の為に古いモデルをひっぱり出してわざわざ作ってくれる。奇跡的なことだし、大変感謝している。
このトレンチは誰をも変える。いい意味でジェントルマンくさくない。
「トレンチなんて…。」という方に無理矢理着せて、鏡の前でフリーズされ、お持ち帰りされたお客様数知れず。
「欲しいんだけど、今年は買えない。来年こそ買うつもりだから、絶対入るよね。」と予約される方も多い。
皆さんこのトレンチを一度試すと、シーラップの魔法にかかるんだ。でも、まだ持っていない方も多い。
まだまだ多くの方に売っていくつもりだった。トレンチの概念を変えてくれるのは、このトレンチだけだ。
「アルバーノある限り、このモデルは入れ続けるだろう。」強く心に誓った。
しか~し、世の中そんなに甘くない。思った通りにいかないのが現実。
誠に残念ながらこのトレンチ、アルバーノモデルは、今回が最後になる。
悔しいぜ、悲しいぜ。代理店のOさんから、昨年の冬、「アルバーノ別注モデル3種(トレンチ、ピーコート、ステンカラー)から1モデルだけ作りますが、それも今回を最後にして下さい。」というアンサー。
そりゃツライぜよ。3つともアルバーノにははずせないんだ、と思いつつ熟慮の末トレンチを選んだ。
今年から代理店が変わり、全国でシーラップを扱う店は増えたようだ。状況は変わった。
シーラップの方向性か?代理店の内情か?いくら長く付き合っていても、僕らのような規模の店が泣きついても、それは戯言だ。大手さんはしっかり別注モデルを作ってるようだけど。ちっぽけなもんだよ、僕達の商いは。あってもなくても世の中変わるわけじゃない。
これ以上言っても愚痴がエスカレートするだけだ。やめとこ。
覚悟を決めろ!どのみち未来は決まっている。
毎年HPで紹介し続けてきましたが、今回が本当にラストです。
サイズ感、仕様はモチロン同じです。10年やり続けても丈の長さ、バランス、全く流行を感じさせない。
今年の素材は、ボンディングの綿ポリ。この張りのある感じは、今回が最初で最後。
色は、ベージュ(黄色系)とネイビー(ナス紺系)の2色です。
じっくり長年温め続けてきたトレンチ。
恰好良かったよねぇ、皆さん。買われた方は、このコートの事なんて誰にも自慢しないだろう。宝物として愛用していって下さい。
この後シーラップからどんなトレンチが出てくるのか。それはそれでシーラップらしいものが出ることを期待する。
でも、やはりこのトレンチをもう勧めることはないんだ。いつも別れはつらいものだ。
地方の街で長年商いをする者にとって「街のあり方」は、常に自分なりの深い想いがあるもんです。
街は移りゆきます。良くも悪くも…。
都会やSCを見ても見慣れた看板がひしめき合い、まるで金太郎飴のよう。
それが今の日本の現状なんでしょうか。勝ち組チェーン、外資系が増殖し、昔からの昭和の店が姿を消していきます。
街という森が輝く為には、店という1本1本の木が個性を出さねばなりません。
富山の街は、珍しいくらいコンビニをはじめ全国チェーン店が皆無な摩訶不思議な街です。
まちなか人口も増えているのでそんな利便性も必要なんですが、僕の理想はやはり地方色を出した、そこへ行かないと見られないディープな個性的な店が沢山集まることです。
ヨーロッパのような人間の温かみが感じられる様な街が理想ですが、それは難しいですね。表通りの華やかさより、裏通りの人間模様のドラマに憧れます。
連休初日、宮城からそんな富山を愛してくれるNさんが来店されました。自分流儀の街巡りを愉しまれる達人Nさん。
富山でしか食べられない団子がある餅屋。有名女優がお忍びで通う中華そば店。老舗喫茶etc。僕達地元民が知るディープな名店を紹介し、まわられました。
ちょうど来店された日の朝、イタリアのボローニャ(いい街なんだろうなぁ。)でアトリエを構えるベスト(ジレ)専門ブランドのベストが届きました。
「NILO」というブランド。珍しいでしょう。ベストの専業ブランド。
おじいちゃんがヴィンテージのファブリックを使い作るベスト。仕立て職人のおじいちゃんが作るベストは、着てもらえば必ず判ってもらえる美しい立体感とスタイリッシュなシルエットをかもしだす。
僕も東京のショールームで試着した時、その恰好良さにうなりました。
スーツ・ジャケットにキチンと着てもいいし、カジュアルに合わせても品がある。流石ベスト専門ブランドだけのことはある。
丁度宮城のNさんの来店を予想していたかの様に突然届いたベスト。
何のためらいもなく真っ先に僕はNさんにベストを紹介しました。
アンティークなペイズリー柄は、これも偶然その日のNさんのスタイルにドンズバにハマりました。
旅人と1枚のベストの出会いは、まさに街歩きの達人の為に用意されたワンシーンにうつりました。
明日から来秋冬のプレコレクションを見に東京へ行きます。
早すぎますよ。日本だけらしいですよ。こんな早いのは。以前は、年明けイタリアでピッティが終わった2月くらいから日本で展示会が始まっていました。
その頃は秋冬SALEも一段落し、何が売れて何が残ったか、僕達の商い通知表が届いている頃です。それを見て、Aがいくつあった、これはCだった等、良かったモノ、悪かったモノ、のばすところ、改善点を分析し、展示会に臨めました。
近年はこの時期、まだ答案用紙に3分の1くらいしか書いてないのに、最終的な点数を予想して、次のテストに備えなさい、と言われている様なプレコレが始まります。
ダレが早くしたの?その目的は?納期を早める為と聞いている。
ダレが急いでいるの?店側が早く売りたいから?お客様をネット上でとり合う為?お客様が我先に欲しいから?いや本国メーカーが早く生産に取り掛かりたい為?いやいや日本の代理店が早くオーダーをとりたいから?
何がどうなって、どうなったのでしょう。I don't understand。
僕達ネットビジネスをやってない店にとっては、納期は普通で良い。だから、2月にゆっくりオーダーすればいいのですが。代理店からは、「今回スペシャルな生地があるんですよ。」「プレ限定の商材を用意しております。」
獲物をチラつかされると、黙っている訳にはいかないでしょう。代理店間の競争も白熱する。
それが日本のビジネス?MAXに早く動く者が勝ちなのか?人がやってない時に頑張るのが日本的根性論?
僕は疑問だなぁ。あなたも、私も日本中振り回されてる。洗脳されている。
スイマセン。熱くなってしまって。でも、これが常識になってしまっているのだからしょうがない。
大きなリスクをかかえないところは、競争には勝っていけない。コワイ商売だ。
僕達の物売りビジネス。奈落の底に落ちるのなんて、アッという間ですよ。
もっと冷静にタイミングを見極め結果を反省する部分と、来年の見通しを先読みする余裕を持つことが、長くやっている秘訣なんだけどなぁ。
当店もライバルの少ないモノを扱うことでマイペースにやってきたつもりですが、いつも気がつけばライバルは増えており、競争の世界に引きづりこまれていますね。
このブランドもGAIOLAからDE PETLLIROに名を変え、1年が過ぎました。このブランドは、ライバルが少ないから大量に扱っているのではありません。
心底このブランドに惚れ込んで、愉しませてもらってます。今のところマイペースで。
今日は前回に続き、またまたスーツです。
今回ペトリロのスーツは、アンコンスーツが大半を占めています。
実は、プライスの方がナポリモデル(芯が入った正統派モデル)より、お求めやすくなっております。
アンコンと言っても、肩周りの構築的な感じはビジネスでもバッチリ通用し、かつ軽い着心地なので快適です。
1番目は、ネイビーのサキソニー。オルタネートストライプ。ブルーと白のライン。秋冬らしいクラシカルで高級感のある生地。
色気度80のアルバーノモデル、Mモデル。毎回言っていますが、肩周りから肩先が45度。セクシー度全開。
2番目も同じMモデル。グレーのサキソニー、ヘリンボーン。カシミアが入ったようなソフトな素材感が非常に素晴らしい。無地系グレースーツでも存在感は抜群。
3番目は、前回の遊べるスーツに入れたかったのですが今回にまわしました。
グレージュベースにブルーのウインドーペン。これは、サンプル品にあった生地だったのですが、かなりお客様受けが良かった。モデルは、新作アンコンMARINA。
Mモデルより少しカジュアル感のある大見返しの楽ジャケ。写真はラインが強調されてますが、実際はそんなにキツくないので、ビジネスでもO.Kじゃないでしょうか。
4番目は、今年もやっております。グレーのバーズアイ。昨年はナポリモデルでしたが、今年はセクシーMモデル。ビジネスの鉄板、安定感のある人気素材。
どんどん紹介していかないと。デ・ペトリロのスーツ・ジャケット、まだ続きます。
ザノーネのニットは、もう当店になくてはならないものです。気がつけば、そうなっていましたね。
ス~っと入ってきて、もう家族同然。前回のシーラップと同じです。地味ですよ。ミニマリズム。深~く、深~くしみ込むイタリアンスピリット。クォリティの高さも信頼できます。トラッド・定番が好きな方から、モード・デザイナーが好きな方。人を選ばないところもシーラップと似てます。
こういうスタンスのブランドって、そうそうないもんですよ。ヒットするものには理由があります。
僕自身あまりマークがついたり、これ見よがしなアイコンがつくものは好きではありません。
本物にはそんなものは必要ないはずです。地味でもいい。さりげな~くアイデンティティーを醸し出すところがニクイじゃないですか。
大ヒットニット、KYOTO。細かく計算されたサイジングとデザインがミニマムな恰好良さ、イタリアンを醸し出す。説明不要。今回 色は3色。ネイビー・グレージュ・ブルーグレー。
続いて、ミドルゲージタートル。昨年は結構要望が多かったので、5色。新色の白・チャコールグレー・ネイビーブルー・ミリタリー・ライトブルー。ジャケット、コートのインナーにも大活躍。
ラストは、当店一押しのスタンドショールカラー、RENO。僕が好きってことです。
基本ショールカラーですが、襟の曲げ方を自由に変えることが出来、いろんな表情出せるところがいいんだなぁ。色は、白・黒・ブルーグレー・グレー。
このしっかりとした編み込みのミドルゲージ。丈夫さはザノーネの伝統のなせる技。
それを生かすシャープでスタイリッシュなさりげなさ。
ミニマムな美は、地味に人の心を惹きつけるはずです。