イタリアバカンス前に出荷された商品が徐々に店頭に届いております。
もう完全にアルバーノクロージングコーナーの主導権を握っております、ナポリのデ・ペトリロ。
オーダーの半分位の数ですが、入荷しております。
そして、この前ご案内いたしましたナポリの新ブランド。本日到着しました。
カジュアルコーナーは、ケアレーベルのデニム、ジェルマーノのパンツ、シャツではギ・ローバーもブルゾン、シャツ入荷しております。
インコテックス、ザノーネは来週初めの入荷を予定しております。
とにかく現在の店頭はSALE中の春夏物、キャリーものの秋冬商品、新入荷商品と入り乱れて混沌とした状況です。
お客様のお目当ては様々でしょうが、きっと運命の出会いが待っていることでしょう。
こんなことになろうとは誰が想像しただろう。
時は10年以上前にさかのぼる。今からは想像がつかない程小さなショールーム、グレーマー。(現アマンの前身。)
そこで、僕は翌年から展開される日本初上陸のファクトリーブランド“ボリオリ”と劇的に出会うこととなる。
袖を通した瞬間からそのフォルムに魅了された僕は、このブランドと心中しようと決意する。
特にCOATモデルと初対面した時の衝撃は鮮明に覚えている。
「他のブランドはいらない。直輸入しプライスを下げ、クロージングコーナーをボリオリで埋め尽くせ。」ボリオリを仕入れる時の高揚感。
そして、出来上がった作品(製品)を、お客様に熱く勧めることが生きがいだった。そんな売れまくった訳ではないけど、すごく充実した心躍る日々だった。
ホームページを始めたのは、まだ5年前。それまでは地元の人に地道に勧めていた。
ボリオリ社(当初はルーカスモーダ社と言った。)は、サルトからスタートした歴史ある優れたファクトリーであり、長年直輸入していたが傷物やサイズブレなど一切なく安心してインポートできた。
そして、ボリオリの魅力を引き出したのは、ピエルイジ(現GIGIデザイナー)の感性だった。クラシックの中にひねったエッセンスを盛り込む絶妙なさじ加減が、モーダと違ったワンアンドオンリーのスタイルを生み出す。
それから時は流れ、ボリオリは世界のボリオリとなるのである。ボリオリ一族がついに経営から離れた。当然ものすごいショックを受けた。
直輸入できなくなった。でも、ファクトリーだけは絶対だ。ボリオリが作れば、間違いはないはず。信じるしかないだろう。コントロールできなくなったプライス。ファクトリーブランドというスタイルの脱却。トータルブランドとしてのベクトル。いろんな取り巻く状況は変わっていく。それでもポジティブに状況を見守った。ボリオリはボリオリ。アルバーノには必要不可欠な存在。
昨年11月にプレコレクションを見た。新しいボリオリワールドが広がっていた。プレゼンを聞いて、自分で試してみた。
なんだろう?心から湧き立つようなものは感じなかった。メゾンブランドを手掛けたデザイナーが作りだす完成された世界観が表に出て、過去の名作達は陰が薄れたように感じた。
「ファッションは流れてるんだ。進化してるんだよ。」そんな声が聞こえた。
“革新の老舗”、“長い友との始まりに…”ブログで熱い想いを何度も何度も書いた。
ただ、今このブランドを昔のように高いポテンシャルでオーダーできるか?自問自答。
長い間苦楽を共にした同志だ。嫌いになった訳じゃないよ。
僕にはこんな着飾らなくても、地味に輝いていたボリオリの残像がある。ボリオリというファクトリーを手の平で好きに転がしていたピエルイジのお遊びに惚れていたのかもしれない。
どんなに信頼している好きなファクトリーが作り上げたものでも、そこに好きな魂(デザイン)が宿ってなければ、抜け殻だ。
レシピが同じでも作る人の魂が入ってなければ、味は違うのと同じだ。僕は学んだ。男の服の世界の奥深さを。僕は、スーツ・ジャケットが好きだ。そこには敏感だ。
COAT、DOVERモデルは、今でも健在だ。色あせたわけじゃない。今春夏も仕入れていたし、昔のように勧めている。だけど、ブログでは紹介しなかった。
あえて今声高にというのもどうだろう。“富山のアルバーノにボリオリあり”それも今は昔だ。
前にも書いたけど、「レールにひかれたマンネリな仕入れなら辞めた方がいい。」
もう一度言うけど、嫌いになった訳じゃないよ。僕もCOAT、DOVERは、今も宝物のように着ている。
しかし、ファッションってやはり着る側も売る側も気持ちのトレンドに逆らっちゃいけないと思う。いわゆる定番と言われるものにしがみつくのはナンセンスだ。
初心に帰ろう。心がときめくものを素直に受け入れよう。
ボリオリも新しいスタイルを提案している。そこにときめきを感じるか?
そこだよ。そこに心ときめくものがないなら、答えは出ている。
ツライ決断ではあったが、そんな訳で(長すぎるね。)今秋冬、新しいボリオリは入らない。
今まで当店でボリオリを買って頂いた方々からは、さみしいという声も出るかもしれない。
皆さんが購入されたCOAT、DOVERは堂々と着続けて欲しい。
そして、僕は“富山のアルバーノにボリオリあり”という時代があったことに誇りを持ち続けていくだろう。
来春夏の展示会も終わった。有名・無名いろんなブランドをチェックした。
先の事は考えずに生きているが、毎回これだけは半年先を見なければならない。
僕達はネットで勝負する事を選ばなかった。だから、有名ブランドを集める必要はない。
流行を無視する訳じゃないが、そこに流されることはしたくない。フリーダム。
レールにひかれたマンネリな仕入れなら、商売辞めた方がいい。スリルとアドベンチャー?を実感出来るような独自の世界観を作りたいし、そこに自分が愉しめるか、お客様に愉しんでもらえるかだろう。
とは言っても、今の時代ネットに頼らず実店舗で勝負するのは簡単ではない。新しい事にもチャレンジしていかなくてはならないだろう。
そろそろ秋冬物を展開するタイミングだ。近日沢山の秋冬モノが入荷する。その中に新しく扱うクロージングブランドがある。
アルバーノにとっても一つの挑戦である。大袈裟にとらえられるかもしれない。
長い間商売やっていると、いろんな事が移り変わった。ただ、一つだけ変えていない信念がある。
プライスだ。アルバーノプライス。そこだけは自分の中で筋を通してきた。
どんなに恰好良くても、自分がお金を出せる代物かどうか。それはお客様が決めることだし、人それぞれの物差しがあるのは判る。
ただ、そのこだわりが当店のアイデンティティーであり、裏で自分なりの努力はしてきた。
近日入荷するこのNEWブランド。知名度の高いブランドならまだしも無名である。それはいいのだが、アルバーノがこだわってきたプライスをかなり上回る。
でも、仕入れたという事は自分でもお金を出す代物だと判断したからだ。
詳しい事はモノが入荷してからだ。
デ・ペトリロ(旧ガイオラ)で、初めて経験したナポリ服。そこにステップアップしたスタイル。
自分の感覚を信じた。今の当店のお客様はどう感じられるだろうか?
今秋のスリルとアドベンチャーをゆっくりと愉しみたい。