下北沢にて
2月末の東京出張。予定の代理店巡りもなんとか終わり、時間が空いた。さて、どうしよう?? 悩むまでもないか。僕が行きたいところ。脳裏に浮かぶのは、3,4か所。単純なヤツさ。下北沢が俺を待っている。レコードの甘~い香りが僕を誘う。「おいで~、おいで~...。」さぁ、下北沢に着いた。出口を探す。南口、南口...、ない!、南口がない!お~い、どこへ行ったんや~。え~い、こうなりゃ中央口とかに出りゃなんとかなるだろ。なんだ、この駅は!俺が知ってる下北沢の駅じゃない!俺が知ってるあのバタ臭い駅じゃない!どうなっとんじゃ~!!こんなお洒落な駅は似合わね~ぞ。中央口を出て、人の流れに飲み込まれる。ココハドコ?ワタシハダレ?アイドンノー、アイドントアンダースタンド。もうこうなりゃ、カワイイお姉ちゃんに聞くしかない。「あの~、南口はどっちですか?」「え~知らな~い。」聞いたお姉ちゃんが悪かった。そうだ!俺にはスマホという強い味方があるじゃないか。全然使いこなせていないけど(俺には猫に小判なヤツなのだ。)、そういやぁ、地図ナビのアプリを入れてるんだった。おぉ~。俺の居場所がスマホ上にでてる。どうも俺は今北口にいるようだ。俺が歩くごとにナビが動く。(当たり前か。)今 小田急線の線路を渡ったぜ。うわぁ南口だ!ようやく見慣れたいつもの風景が現れた。助かった!神様ありがとう。もうホント悪戦苦闘。新しい駅に翻弄され、20分ほど時間ロスしてしまった。ここからが本番。俺の本当の宝探し。俺のフェイバリットショップは、何も変わらず迎えてくれた。いつ来てもブレない店。唯一無二の品揃え。行くたびに背筋が伸びる緊張感。僕の商売の師匠だ。世の中がどう変わろうと、自分の信念を貫く勇気を教えてくれる。下北沢南口の名物店。ここにこないと経験できないものがある。それがいいんだよ。全国から老若男女が貴重な時間を惜しんで、この聖地へ足を運ぶ。どこでも味わえる利便性なんていらない。なかなか行けないからこそ価値がある。その数時間こそが至福の時。幸せを体中で感じながら、良心的な価格のレコードをじっくり選ぶ。感無量。幸せは簡単には手に入らないからこそ、価値があるんだろう。不便さの乗り越えて、手に入れた時こそ本当の輝きがある。