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2024/09/24

僕の中に今もこびりつくイタリアンデザイナーの幻(後編)

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(ジャンフランコ・フェレのセカンドライン「STUDIO」
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(フェレのファクトリー「レダエリ」)
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(ブリオンヴェガのステレオ)
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(カステリオーニがデザインしたステレオ)
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(イタリアンミッドセンチュリーのライト)

80年代建築、インテリア(カッシーナ、アルフレックス)、アート(ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ)、車(カロッツェリア)...、いろんな分野で旋風を巻き起こしたイタリアンカルチャー。
身近なところでは、❝イタメシ❞と❝メンズファッション❞かな。
メンズでは、アイビー以来の大革命。アルマーニが生み出した?ソフトスーツ(ダブルなんかのゆったりしたスーツ)が、街にあふれた。
雑誌ブルータスでもファッション特集は、イタリアンワールド。
アルマーニ、ヴェルサーチ、フェレの3Gを筆頭に、ベンチューリ、ガルヴァーニ、ヴェリー...、おびただしい数のイタリアンデザイナーが登場し、個性を競い合った。百花繚乱。
後にも先にもこの時代が全て。史上空前のデザイナーブランドブーム。ブランドの個性が出たのが、ダブルのデザイン。エレガント~男らしさのシルエットから、肩巾、襟巾、ボタンの配置...のディテールまで、独自の特徴があった。
そして、ソフトスーツは男のステータスになった。
若い頃からデザインが好きだった。僕が一番ウキウキしたファッションの時代。
僕の推しは建築出のフェレ。当然着たことはなかったが、雑誌で見るイメージだけで満足したよ。
しかしだ!そんな数十万円のスーツ、誰が着ていた?
イタリアンデザイナーは、イタリア自国製にこだわり、日本でのライセンスは認めなかった。一部だけあったライセンス(英・仏デザイナーは日本製)が、アルマーニ御用達生地で作った❝なんちゃってアルマーニ❞か。それでも高かったけど、アウトレットの並行輸入物(インポートブームの始まり)が精一杯だった。
ということで、当時のイタリアンブームは幻だったのだ!
ホンモノは高すぎた。それでもイタリア製だろうがなかろうが、皆それぞれソフトスーツをプライドを持って楽しんでいた。
そんなイタリア文化が入った頃から、90年初めのあたりまでが、イタリアはデザイン王国の時代だった。
そして、いよいよファクトリー、職人、モノ作りとしてのイタリアに移行していく。クラシコイタリアの時代に突入。イタリアンデザイナーは、フェイドアウトしていく。
大手セレクトショップが台頭し、僕達もイタリアンファクトリーを始める。
今のドゥエアインクさんの前身、エミスフェリ。そこで、バブル期に憧れていたフェレを作っていた❝レダエリ❞と出会う。私30代。
やはり、メイドインイタリーは違った。うれしかったなぁ。
ずっと好きだった初恋の女性と、ようやくつき合えた気分。
そうして10年にわたり、スーツ屋アルバーノは「レダエリショップ」となるのだ。
まさに、あのバブル時代着ることができなかったイタリアンデザイナー、ジャンフランコ・フェレの幻をファクトリーとしてリベンジしている思いだった。


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